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神戸山口組劣勢の中、存在感を増す建國会とは? 有力組織・宅見組には不穏な噂が…どうなる分裂問題

文=山口組問題特別取材班
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発足当初、淡路市に設けられていた神戸山口組の本部事務所

 6年目に突入している山口組分裂問題。神戸山口組では、組員たちの六代目山口組への復帰、そして、大物組長たちの脱退や引退が相次ぎ、六代目山口組に対して劣勢に立たされて続けているといえるだろう。このまま神戸山口組は弱体化し、分裂問題に終止符が打たれることになるのか。それはいつのことなのか。ヤクザ事情に精通するジャーナリストは、こう話す。

 「すべては、神戸山口組を率いる井上邦雄組長次第でしょう。井上組長が、神戸山口組を解散し、自身の引退を申し出たとき、分裂問題は終結するといえるのではないでしょうか」

 では、その可能性はあるのか?

 「今すぐにというのは考えにくい。井上組長は『たとえ、ひとりになっても諦めはしない』と口にしたのではないかと業界関係者内で噂になったことがありました。それに神戸山口組に残留した山健組勢力の中には、武闘派として知られる健國会がいます。この組織の存在意義は、決して小さくないと思われます」

 健國会を創設させた初代・山本國春会長(引退)は、大阪戦争(1975年から78年にかけて、三代目山口組と二代目松田組との間で起きた、山口組抗争史に残る事件)の際、井上組長と共にジギリをかけて(重刑を食らうことを覚悟して、組織のために体を張ること)長期服役を経験しており、井上組長からの信頼がもっとも厚いといわれている。それを裏付けるかのように、2005年に井上組長が四代目山健組を継承すると、その後、山本会長は同組若頭へと就任。健國会は山健組内においても一大勢力を築き上げることになるのだ。そうした系統を脈々と受け継ぐ今日の健國会は、神戸山口組に残留を決めた山健組においても、いわゆる“井上組長派”の筆頭勢力といえるのではないだろうか。

「その健國会を、四十代という若さで継承した西野雅之会長に対しても、井上組長の信頼は厚いようだ。その期待に応えるべく、西野会長も神戸山口組の残るという選択をしたのではないか」(業界関係者)

 逆説的にいえば、組織内に健國会が存在している以上、そう簡単に井上組長が神戸山口組を解散させることはないだろうとこの関係者は指摘しているのだ。神戸山口組が劣勢であることは今後も変わりはしないものの、六代目山口組との並存状態がすぐに解消されることはないのかもしれない。

「しかし、そんな状態をよしとしない六代目山口組サイドが、暴力を駆使してでも分裂問題を解決させようとしてきたのは承知の通り。そうした流れの中で、神戸山口組からは引退や離脱する者が相次いでいる。ヤクザ組織はなにを言っても最終的に力がすべての世界。六代目山口組サイドによる攻撃がいつ起きてもおかしくない状態は続いていると考えられる」(裏社会事情に精通する関係者)

 そして、今後のカギとなる組織として、業界関係者の多くが口にするのが、二代目宅見組の存在だという。

「宅見組は、神戸山口組の立ち上げの際に山健組に次いで注目された、山口組内でも高い影響力を持った組織。あの山健組と宅見組が立ち上がったということが、神戸山口組誕生のインパクトを強めた。昨今、その宅見組からも六代目山口組サイドへと復帰する幹部らが相次いでおり、そうした渦中に、ミナミに拠点を構える本部事務所を宅見組が売却するのではないかというものや、六代目山口組内では、宅見組からの引き抜きを中断する伝令が流れたなどといった噂が錯綜している。そんな背景からも、近々、宅見組執行部が大きな決断をするのではないかなどと、その動向に注目が集まっている」(捜査関係者)

 最近は大きな衝突もなく、表面上は沈静化している山口組分裂問題だが、水面下では、いよいよ佳境に入ってきているといえるのかもしれない。
(文=山口組問題特別取材班)

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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