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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

420万円もお得…今年は住宅購入の絶好のチャンス、住宅ローン減税・すまい給付金など

文=山下和之/住宅ジャーナリスト
420万円もお得…今年は住宅購入の絶好のチャンス、住宅ローン減税・すまい給付金などの画像1
「Getty images」より

 2019年10月の消費税引上げ、2020年に入っての新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、新設住宅着工戸数が大きく落ち込んでいます。建設経済研究所の予測では、2019年度の実績88.4万戸に対して、20年度は79.7万戸に減少し、2021年度もほとんど変わらず80.2万戸となる見込み。これでは、住宅投資が減って景気の押し下げ要因となるため、2021年度にはさまざまな住宅取得支援策が実施され、住宅取得を考えている人にとっては、メリットの大きい年になりそうです。

新築は最大100万円相当のポイント制度を創設

 大手住宅メーカーなどの業界団体である住宅生産団体連合会(住団連)では、消費者向けに各種住宅取得支援策をまとめたリーフレットを作成し、会員企業が消費者に対して積極的にPRすることを促しています。そこであげているのは、次の5つの支援策です。

(1)グリーン住宅ポイント制度 新築最大40万円相当のポイントを付与

 一定の条件を満たす場合、新築最大100万円相当に引上げ

(2)住宅ローン減税の控除期間13年間

(3)贈与税非課税枠1500万円

(4)すまい給付金  最大50万円給付

(5)既存住宅における断熱リフォーム、戸建て住宅にZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助

2021年なら5つの支援策で約420万円も得できる

(1)のグリーン住宅ポイント制度では、新築の場合、最大で100万円相当のポイントが付与され、(2)住宅ローン減税制度では一般の住宅は10年間で最大400万円の減税額が、13年間で最大480万円に増え、80万円の増額、(4)のすまい給付金は最大50万円、(5)のZEH補助金は新築住宅で1戸当たり60万円の補助ですから、100万円+80万円+50万円+60万円=290万円も得できる計算です。

 加えて、(3)の贈与税の非課税枠の拡充に関する効果は、後に計算式などを紹介しますが、結論だけいっておけば、3000万円の贈与の場合、129.5万円の軽減になります。

 先の290万円と合わせると、得する金額は合計419.5万円。これだけ得できるのなら、このチャンスを逃す手はないでしょう。しかし、すべての住宅、すべての人がこれだけ得できるわけではありません。それぞれに適用条件などが定められているので、(1)~(5)について、どんな場合に、どれだけ得になるのか、具体的にみていくことにしましょう。

ポイント制度は新築住宅からリフォームまで対象に

(1)のグリーン住宅ポイント制度は、2020年度第三次補正予算に盛り込まれ、2021年1月の通常国会で成立すれば、新年度を待たずにただちに実施されることになります。住宅の新築、新築住宅の購入(持家)、賃貸住宅の新築、既存住宅(中古住宅)の購入、住宅のリフォームと対象は幅広く設定されていて、それぞれに条件や付与されるポイントが定められています。

 一例として図表1に、持家住宅の新築、新築マンションや建売住宅などの分譲住宅の購入の場合の条件とポイントを示しておきました。認定長期優良住宅など高い省エネ性能を有する住宅であれば、1戸当たり40万ポイント(40万円相当)が基本で、「東京圏から移住するための住宅」「三世代同居仕様である住宅」「多子世帯が取得する住宅」「災害リスクが高い区域から移住するための住宅」のいずれかに当てはまる場合には100万ポイントに引き上げられます。

 これまでにも、さまざまな住宅ポイント制度が実施されましたが、1戸当たり100万円というのは初めてのことです。

 新築住宅以外の条件やポイントなどについては、下記の国土交通省のホームページをご覧ください。

国土交通省ホームページ

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(資料:国土交通省ホームページ)グリーン住宅ポイント制度の概要

家電品などへの交換や追加工事に充てることも可能に

 取得したポイントは各種の家電製品、食料品、防災用品などと交換できます。予算成立後に設置される事務局が交換商品を募集し、詳細が公開されることになります。また、今回のポイント制度においては、取得するポイントを住宅メーカー、分譲会社、リフォーム業者などが提供する「新たな日常」「防災」に資する追加工事に充てることができるのが大きな特徴。たとえば、ワークスペースの設置工事、音環境向上工事、空気環境向上工事、菌・ウイルス拡散防止工事、家事負担軽減に資する工事などがそうで、40万円相当のポイントを取得した場合、その40万ポイントを使った工事を追加発注できるわけです。最大では100万円相当ですから、けっこう規模の大きな工事を追加できそうです。

 消費者にしてみれば、追加工事のための商品や業者を探したり、別途予算を用意する必要はありませんし、業者にしてみれば追加工事分だけ売上高を増やすことがきるので、お客にこの制度の活用を積極的に進めるようになるという相乗効果が期待されています。

22年の年末入居まではローン減税の拡充対象に

 住宅ローンを利用してマイホームを取得した人が利用できるのが、(2)の住宅ローン減税制度。従来は控除期間が10年で、一般の住宅の場合、年間40万円、10年間で最大400万円の控除額でしたが、2019年10月の消費税引上げにともなって、控除期間が13年間に延長され、最大控除額は480万円に拡充されています。

 この拡充策の対象となるのは、当初は2020年12月末までに入居することが条件でしたが、コロナ禍で工事などに遅れが出ていることを考慮、いったんは2021年12月末までに延長されましたが、さらに2021年度税制改正によって、2022年12月末入居までに再延長される予定です。ただし、注文住宅は2021年9月末までに、分譲住宅などの場合には2021年11月末までに契約することが条件になっています。

 建売住宅は契約から引渡しまでの期間が短いですから、さほど問題になりませんが、大規模なマンションだと契約から引渡しまでの期間が2年程度かかることもあるので、この入居期限の延長で、ローン減税拡充策の対象になるケースが増えるのではないかとみられます。

贈与税非課税枠の拡充で100万円以上の軽減も

 祖父母や父母などの直系尊属から住宅取得のための資金贈与を受けた場合、一定額まで非課税になるのが、(3)の贈与税非課税制度です。従来の制度では、2021年4月までの贈与の非課税枠は1500万円で、4月から1200万円に減ることになっていましたが、2021年度の税制改正案に4月以降も1500万円とすることが盛り込まれています。3000万円の贈与を受けた場合の贈与税額を試算すると――。

 非課税枠1200万円の場合、贈与額3000万円から年間の基礎控除110万円と、非課税枠1200万円を引いた1690万円に対して、税率は45%で、控除額が265万円ですから、

(3000万円-110万円-1200万円)×0.45(税率)-265万円(控除額)

で、贈与税は495.5万円になります。それが、非課税枠1500万円に拡充されると、

(3000万円-110万円-1500万円)×0.4(税率)-190万円(控除額)

で、贈与税は366万円に減少します。その差額は129.5万円。両親や祖父母から資金贈与を受けられる人にとっては大きなチャンスの年といっていいでしょう。

すまい給付金は共有名義人全員が給付対象になる

(4)のすまい給付金制度は、消費税増税に対応したもので、消費税10%で取得した場合には、図表2にあるように、年収に応じて給付金が支給される制度です。年収が低い人ほど給付額が大きく、年収450万円以下の人の給付額は50万円ですが、年収が高くなると減って、年収675万円超775万円以下が10万円となっています。年収775万円超の人は対象外です。

 このすまい給付金、共有名義で取得した場合には、共有名義人それぞれが持分割合に応じて適用を受けることができ、給付額の合計が多くなるケースもあります。たとえば、年収700万円の夫の単独名義だと、給付額は10万円ですが、年収400万円の妻との共有名義で、持分割合が夫2、妻1とすれば、夫の給付金は、給付基礎額10万円で持分比率3分の2ですから、10万円×2/3で6.7万円に減ります。しかし、共有名義なら妻も給付対象になって、年収400万円の給付基礎額50万円の持分比率3分の1ですから、給付額は16.7万円です。合計すると23.4万円の給付額になります。これは親子の共有でも同様なので、忘れないようにしましょう。

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(資料:国土交通省ホームページ)PowerPoint プレゼンテーション

ZEHなら1戸当たり60万円の補助金もある

 最後に、(5)の環境性能に優れた住宅の取得やリフォームに対する補助金制度が実施されるのも見逃せません。既存の一戸建ての住宅の断熱リフォームを行う場合には、図表3にあるように、1戸当たり最大120万円が補助されます。そのほか、蓄電池や省エネ性能の高い給湯器を設置する場合には、別途補助があります。

 既存住宅でも、マンションなどの集合住宅の場合、1戸当たり15万円が上限になります。こちらは1戸当たり15万円なので、100戸のマンションなら合計1500万円ということですから、管理組合単位で実施するメリットはたいへん大きくなります。

 さらに、断熱性能の高い一戸建てで、太陽光発電などの創エネ設備を設置、住まいの一次エネルギー消費量を実質ゼロ以下にするZEHの場合、1戸当たり60万円が補助されます。

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(資料:住宅生産団体連合会ホームページ

2021年こそマイホームの夢を実現するチャンス

 以上みてきたように、2021年には実に多彩な住宅取得支援策が実施されます。実際には、国会で2020年度第三次補正予算、そして2020年度予算、税制改正が成立することが前提ではありますが、これまでの実績でいえば、閣議決定されれば、ほぼ政府案通りに成立するのが通例ですから、まず実現は間違いありません。

 コロナ禍でまだまだ先行きの見通しが不透明なままですが、逆にいえば、この時期に購入して住宅ローンを無事に返済できるようになれば、コロナ禍収束後には怖いものはありません。「ピンチはチャンス」ということばもあります。2021年の住宅購入チャンスを上手に活用していただきたいものです。

(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)

山下和之/住宅ジャーナリスト

山下和之/住宅ジャーナリスト

1952年生まれ。住宅・不動産分野を中心に、新聞・雑誌・単行本・ポータルサイトの取材・原稿制作のほか、各種講演・メディア出演など広範に活動。主な著書に『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(執筆監修・学研プラス)などがある。日刊ゲンダイ編集で、山下が執筆した講談社ムック『はじめてのマンション購入 成功させる完全ガイド』が2021年5月11日に発売された。


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