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中西貴之「化学に恋するアピシウス」

なぜ豆腐は健康に良いのか?大豆イソフラボンのスゴい効果…豆乳はどうなのか?

文=中西貴之/宇部興産株式会社 品質統括部
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「PIXTA」より

「湯豆腐や いのちのはての うすあかり」

 これは、大正から昭和にかけて活躍し、俳誌「春燈」を主宰し、文学座の創設者のひとりでもある俳人、久保田万太郎の代表作です。死の半年前に詠まれた句で、湯豆腐から立ち上り消えてゆく湯気を、自らの人生の儚さに重ね合わせたものです。

“畑の牛肉”として栽培され始めた大豆

 湯豆腐の主役といえばもちろん豆腐ですが、豆腐の原料である大豆が最初に栽培されたのは、中国黄河流域において紀元前5000年頃のこととされています。これは、この地域での農耕の発祥にまで遡れるほど昔のことで、米などの主要作物と共に大豆の栽培が始まったとされています。当時の食料生産は農業が中心で、畜産はさほど行われていなかったため、脂質を2割、タンパク質を4割も含む大豆は“畑の牛肉”として、当時から食生活に不可欠な作物でした。

 日本における大豆の栽培は、約2000年前の弥生時代に中国から朝鮮半島を通じて入ってきたと考えられています。一方で、豆腐は前漢時代(紀元前2世紀頃)の中国で発明され、日本へは鎌倉時代(1185~1333年)に禅僧により製法が伝えられたとされています。

 豆腐はさまざまな料理の材料として愛されていますが、江戸時代中期には『豆腐百珍』なる本が登場しています。この本では豆腐料理を百種類も、その調理方法と共に収載しており、大人気を博したといいます。著者は醒狂道人何必醇という人で、正体は著名な文人と考えられていますが、謎です。この本がきっかけとなって江戸や大坂では料理本の大ブームが起き、『○○百珍』という類書が多数登場したとのことで、豆腐料理の影響力の大きさが想像されます。

豆腐の摂取が心疾患リスクを下げる?

 豆腐は脂質、タンパク質、アミノ酸を豊富に含む健康食品ですが、近年、特に注目を集めている成分が「大豆イソフラボン(イソフラボン類)」です。大豆イソフラボンには女性ホルモンのような作用があることがわかっており、ホルモンバランスを整え、前立腺肥大や前立腺がんを予防する効果があることがわかっています。

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イソフラボン類の基本構造

 また、豆腐に代表されるイソフラボン高含有食品が心疾患リスクを下げる可能性を、米国のハーバード大学が2020年に報告しました。この研究では、心疾患を発症していない実験協力ボランティア20万人超を1984年から2013年にかけて平均24年程度追跡し、この間の食生活をアンケート調査しています。

 その結果、参加者の4%は平均毎週1回以上、豆腐を摂取しており、月1回未満しか豆腐を食べない人たちと比べて、心疾患の発症リスクが18%も低下することが明らかになりました。また、豆腐の摂取頻度が高かった人たちは身体活動が活発で、果物や野菜の摂取量が多く、肉類の摂取量が少ない傾向がみられました。

 これは、米国においても、健康に気を遣う生活をしている人たちの間では豆腐が健康商品として有効であると認識されている可能性を示唆しています。大豆イソフラボンは細胞をダメージから守る抗酸化力が強く、血中の脂質を適切にコントロールし、インスリン抵抗性を改善し、血管の炎症を低下させる効果を持つことが明らかになっています。

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