
新型コロナウイルスの新規感染者は増加の一途を辿り、テレビのニュースやインターネット上は連日、コロナ関連の話題に溢れている。
収束が見えない状況から感染予防も鑑み、健康診断の先送りをしたり、多少の健康不安があっても受診しないという人も少なくないようだ。こういった状況により、病気の発見が遅れる可能性もある。
ところで、あなたは自身の「尿酸値」を把握しているだろうか。尿酸値が高いと痛風になるわけだが、コロナ禍に若い世代での痛風が増加傾向にあるという。歩けないほどの激痛といわれる“痛風発作”で発覚するケースも多い。そうなる前に痛風についての病識を持ち、予防を心がけてほしい。函館陵北病院総合診療科の舛森悠医師に、痛風について話を聞いた。
痛風とは
一般に「尿酸値が高いと痛風」ということは広く知られているが、実際にはどういった理由で尿酸値が高くなり痛風発作のような痛みが出るのだろうか。
「痛風による痛みや腫れが出現するには、3つの段階があります。
1.体内でつくられるプリン体、食事中のプリン体が、尿酸へ分解される
2.血中の尿酸が高くなると関節へ溜まっていく
3.尿酸が溜まりすぎると痛風となり、関節が腫れて痛くなる
このように、過剰になった尿酸が結晶化して関節に溜まるため、腫れや激痛が起きます」
尿酸値が高いことに気づかず生活していれば悪化の一途辿ってしまうが、具体的にどの程度の数値になると注意すべきなのだろうか。
「健康診断で『尿酸が高い』と言われる場合は、『尿酸値7(mg/dl)』がひとつの目安になります。尿酸値が7となったら、薬で尿酸を下げる治療を始めるか、医師と相談する必要があります」
「風が当たっても痛い」ことから痛風と呼ばれるが、その痛みの出現は特徴がある。
「夏場に中年男性が片足を痛そうにして歩いている姿を見たことはありませんか。まさに、その症状が痛風です。痛風の9割は男性に起こりますが、女性にも起こりえます。部位はほとんどの場合、足の親指の付け根にできますが、稀に足首・膝・手首が腫れることもあります。関節が腫れ激痛が起きることを“痛風発作”といいますが、発作は24時間以内にピークに達し、通常10日~2週間で完全に消失します。繰り返すことが多く、痛風の患者さんのなかには、『あ、そろそろくるな』と、痛風発作の前兆がわかるという方もいます」