NEW
便利屋化する自衛隊と忖度官僚(5)

防衛省、“忖度官僚”支配に現場が辟易…歪んだプロパガンダ計画、不必要な出動命令

文=編集部
【この記事のキーワード】, ,
防衛省
防衛省・自衛隊のインスタグラムより

「今の防衛省は“忖度官僚”が牛耳っており、専門家集団としての矜持が日に日に失われていっている」

 編集部の取材に応じた防衛省幹部はこう吐き捨てた。戦後最長となった第二次安倍政権は中央省庁の幹部官僚人事を掌握し、各省庁で官邸の意向に過剰に従う忖度官僚が出世する弊害が指摘されて久しい。防衛省も例外ではなく、本連載最終回ではその実態について詳述する。

7年も首相秘書官を務めた島田次官、次官就任にイージスアショアの洋上への切り替えの功績

 防衛省の現事務次官は約7年も第二次安倍政権の秘書官を務めた「ザ・官邸官僚」の島田和久氏だ。この島田氏、その前に事務次官を務めた高橋憲一内閣官房副長官補とともに、安倍晋三氏の大のお気に入りとされる。島田氏が19年7月に首相官邸から防衛省へ戻る際、官房長になって1年も経たない武田博史氏が防衛装備庁長官に異動し、同長官だった深山延暁氏は定年まで1年を残し、就任1年未満で退職した。これは「島田氏を事務方ナンバー2の官房長に据えるための露骨な情実人事」と省内では囁かれた。

 島田氏の事務次官就任の経緯については、安倍氏のお気に入りということに加え、防衛省の計画性とずさんさが猛批判を受けた、ミサイル防衛システム「イージスアショア」についての功績が大きい。

 イージスアショアをめぐっては、18年5月に秋田県の新屋演習場と山口県萩市のむつみ演習場が配備候補地として選定された。ところが、報道機関の調査報道や米軍からの情報を踏まえた再調査などで、迎撃ミサイルを打ち上げた際に切り離す推進装置「ブースター」を演習場内に確実に落下させるにはシステム全体の大幅改修が必要だとわかり、20年6月に代替策としてイージスシステム搭載艦の導入が閣議決定された。この経緯について、冒頭の防衛官僚がこう解説する。

「このイージスアショアの導入は当時の米国トランプ政権が安倍晋三首相に『お友達として頼んだお買い物』ということは省内では周知の事実でした。ミサイル防衛システム自体が『ピストルの弾をピストルで撃ち落とす』という性格で完全に空の盾として機能するかどうか怪しく、そんなものに数千億円単位の税金を投入することに疑問の声もありました。その流れで実効性などを無視した“政治案件”としてゴリ押ししようとした矢先にケチがついたわけですが、導入そのものを断念するとなると安倍氏のメンツが立たない。そこで洋上に切り替えるという案を仕切ったのが、当時の高橋次官と島田官房長だった」

 この妙案を仕切ったことで安倍氏からの評価がさらに上がり、高橋氏は20年8月、防衛次官経験者としては初めて内閣官房副長官補に栄転し(前任は同省同期入省の前田哲氏)、島田氏は事務次官に就任したというわけだ。

RANKING
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合