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「立憲民主AV禁止の方針」報道を党幹部が否定…当事者抜きの議論

文=Business Journal編集部
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AV新法に関して議論された26日の当事者団体による院内集会(撮影=編集部)

 立憲民主党の堤かなめ衆議院議員が、25日の衆議院内閣委員会で、「立民として『性行為を伴うAV禁止』の法律を目指すことを表明した」などとする一部報道に関して、参議院議員で同党政務調査会会長代理の川田龍平氏は26日、国会内で「立憲民主党としてそのような方針はない」と明確に否定した。

 川田氏が否定したのは25日のAV出演強要被害防止法案(AV新法)に関する部会での質疑に関する報道。川田氏は26日、衆議院第一議員会館で開かれた院内集会『AV新法の対話集会 当事者抜きに決めないで~議員、立法関係者との意見交換会』(共催:日本プロダクション協会、Mermaid、SWASH、トランスジェンダージャパン、「セックスワーカー差別への抗議行動kitai場の有志」など11の団体と個人)に出席。以下のように報道を否定した。

「立憲民主党がそのような方針であるという報道は間違い、誤解です。党の方針になっているわけではなく、国会の議論の中で(立民の)森山浩行部会長の答弁をもって、党方針という記事が出ていますがそうではありません。

 立憲民主党の中には、当事者の声をしっかり受けとめていかなければならないと思っている人もたくさんいます。こういった問題は『国会議員に受け入れてもらえない世界なんだ』と考えられてしまうのはよくないと思っています。いろんな人が国会議員にもいます。国会の中の1人の質問と答弁でもって立憲民主党の方針がそうだということではないことを、強調させていただきたい」

 院内集会後、川田氏にあらためて聞いたところ、以下のように重ねて否定した。

「(党の)方針ではありません。森山さんの発言も可能性のことを言っているだけで、党内でそういうふうに決めているわけではありません。法律についての話だけなので、党の方針でもないし、彼の方針でもない。法律について、それで縛っているかどうかの可能性だけの話です」

堤氏「AVなどの性的搾取根絶に全力」

 堤氏は25日の委員会で、「性行為を伴うAVの禁止については、立憲民主党として、この法律とは別に別途検討を続けることが可能と考えますが、いかがでしょうか」と質問した。

 これに対し、部会長の森山氏が「このことは別に性行為を伴うAV自体の禁止について検討を続けることを、なんら妨げるものではございません。(中略)今後も立憲民主党として、支援団体の方々と共に議論をしながら検討を続けることはもちろん可能」と答弁した。

 報道によると、堤議員は「映画やテレビで殺人のシーンがあったとしても、あくまで演技であって、撮影の際に実際に人を殺すことはありません。しかしながら性行為については実際に撮影現場で行われることもあると聞いております。(中略)この場合妊娠や性感染症、うつやPTSDなどの危険性がある。人間の尊厳と人権の尊重の観点から、立憲民主党として、AVなどにおけるあらゆる性的搾取を根絶するため、今後も全力で取り組むことをお誓い申し上げる」などと述べたという。

法案立案過程で性産業従事者は“蚊帳の外”

 今国会ではAV新法、売春防止法の一部見直し、困難女性支援法が提出された。いずれも2016年に発覚し社会問題となった”AV出演強要事件”に端を発した“被害者支援法案”だ。一連の法案をめぐっては、「性の商品化そのものの規制」などを求める主張が一部議員や市民団体などから上がっている。

 一方、成人向け映像コンテンツや風俗産業などに従事する当事者らは一連の法案が「被害者支援団体や婦人相談員の意見のみ聴取され、当事者団体やコミュニティに意見を求めることなく立案されたこと」を問題視。26日、当事者団体として初めて院内集会を開いた。

 院内集会では同産業従事者に対する暴力や強要の防止を強く主張した上で、堤氏の「AV禁止」発言に対する困惑の声や、一連の法案の立案過程について以下のように疑問の声が上がった。

「私たちに関する法律が、なぜ私たちの知らないうちに知らないところで決まっていくのか」

「産業従事者が犯罪に巻き込まれず、安全で衛生的な環境で労働を行えるよう困難女性支援法や売春防止法について、何年も前から話合いの中に入れてくださいと厚生労働省の検討会に要望を送っても、議員事務所にメールしても無視されてきた」

「政治家と連絡が取れたり、会ってもらえたり、意見を取り入れてもらえたりする人たちと、意見も聞いてもらえない私たちの違いはなんですか」

「(従事者は)激しい差別にさらされていて、自分の仕事を話せる相手は平均2人しかいない」

「(従事者に対する)差別がなんらかの被害にあった人の声をあげる機会を奪うことになっていないか」

「確かに危険な企業もある。しっかりつぶしてほしい。しかし、(今回の)法案によって真面目にコンテンツを制作している業者が叩かれるのはおかしい。このままでは適正なコンテンツを制作している従事者を社会の目の届かない、よりアンダーグランドな方向に追いやり、違法なコンテンツ制作業者が横行する可能性がある」

「『性産業に従事している女性すべてが被害者で、障がいなどを持つ弱者でかわいそうな人だから、(特定の主張や知識を持つ)私たちが助けてあげる』というような議論の進め方はおかしい」

 集会で川田氏は「自身の立場からHIV感染症の問題に従事してきました。法案審議の中で当事者の声をしっかり聴かなければいけない。『当事者の声を聞いて』というのは障がい者の方々がずっと使っている言葉でもありますし、いろんな立場の人たちの声を聞き、反映していく法律を作っていくべきだと思っています」などと語った。

 院内集会で顕在化した一連の法案に関する論点については後日、詳報したい。

(文=Business Journal編集部)

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