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シニアに保険は必要?老後資金2千万円ない人は入るべき?保険料はいくらまで?

文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会:外部執筆者
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シニアに保険は必要?
「Getty Images」より

 人生には不安、心配がいろいろとあります。そのような不安、心配には、お金の問題がつきものです。そんなお金の心配をしないですむように、必要な費用を準備するための「保険」があります。

 子供たちが小さいときは、その子供たちが一人前になるまでの教育費、生活費などが必要なので、保険金の額は大きくなります。しかしシニア世代になると、子供たちは成人している場合が多いので、大きな金額の保険は必要なくなります。

 だからといってシニアに保険がいらないかというと、そうともいえません。

 60代の人の死亡原因の1位はがんです。そのほか長生きリスク、介護のリスクもあります。70代になると認知症になるリスク、骨折のリスクが加わります。それもあってか最近では、シニア保険に加入する人が増えています。

 シニア保険とは、50歳以上の人が自分の健康や老後に備えるための保険です。50歳以前の人は家族のために保険に加入しますが、50代以上の人は長生きになったために自分のための保険に加入する必要がでてきたといえます。

 金融庁の発表した「老後資金2000万円必要」の2000万円とは、生活資金の不足分の金額で、医療費や介護費を含めた金額ではありません。従って、医療費や介護費が必要になった場合は、別途その費用を用意しなければなりません。

 民間の医療保険、介護保険に加入していれば、病気、介護が必要になったときに保険金が出るので、貯蓄の減少を抑えられ、先進医療等の高額の治療も受けられ、治療の幅が広がります。

 ではどういう人が、どういう場合に保険に加入する必要があるのでしょうか。

 シニアには、貯蓄がたくさんある人もいれば、老後資金として2000万円の貯蓄がない人もいます。貯蓄がたくさんある人は、保険に加入する必要はないでしょう。その貯蓄から医療・介護などの費用を、余裕をもって支払うことができるからです。

 しかし、2000万円も貯蓄のない人は医療、介護の費用を少ない貯蓄から支払うと、老後の生活資金が足りなくなってしまいます。貯蓄が2000万円ぎりぎりの人も、お金が減少することが心配で十分な医療や介護が受けられません。安心のためにも、保険に加入する必要があるのではないでしょうか。

シニアに必要な保険は?

 シニアに必要な保険には「医療保険」(病気、怪我の場合)、「介護保険」(認知症、障害者になった場合)、特定の病気だけを保障する、「がん保険」などがあります。医療保険も介護保険も公的な保険と民間の保険があり、公的な医療保険、介護保険は強制的に加入させられ、必ず保険料を納めなければなりません。

 保険でカバーされるのは収入に従い9割から7割、つまり1割から3割の自己負担で済みますが、保険でカバーされない部分は全額自己負担になります。医療も介護も費用は高額になる場合が多いので、自己負担できない部分は民間の保険が利用できれば、安心でしょう。差額ベッド代、先進医療の技術料、治療費以外の入院にかかる費用は、公的医療保険の適用外です。

 生涯医療費(一生涯にかかる医療費)は2600万円といわれています(生命保険文化センター)。その半分は70歳以上の方にかかる医療費です。シニア世代は収入も減りますので、予想外の支出は厳しいものです。がんになってから、認知症になってから、介護が必要になってからでは、民間の保険には加入できません。

 貯蓄の少ない人、親族ががんになったり認知症になった人がいて、がんや認知症に備えたい人はシニア保険に加入したほうが安心でしょう。しかし、現在の生活を犠牲にしてまで高額な保険に加入するのは適切ではないので、保険料は年収の10%以下に抑えたほうがよいでしょう。

(文=藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会:外部執筆者)

藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会

藤村紀美子/ファイナンシャルプランナー・高齢期のお金を考える会

(立教大学ドイツ文学科)卒業後研究室で副手を1年務め結婚。女児2人を出産し、下の子が3歳になったときに(中央大学法学部)に学士入学。法律の面白さに惹かれ、卒業後も勉強を続ける。宅建とFP試験に合格(CFP、宅地建物取引士)。その直後夫の赴任に伴いアメリカに約8年居住。帰国後FPとして働き始める。講演、相談、執筆を行う。その間、簡易裁判所、家庭裁判所で調停委員、参与員、司法委員を定年まで勤める。
著書:「100歳まで安心して暮らす生活設計」(共著)、「どっちがお得?定年後のお金」(共著) ‘高齢期のお金を考える会’メンバー。高齢者施設を多数見学し、高齢者施設の種類、内容、注意点、選び方等を勉強する。

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