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お金の国・ディズニーR、深刻な顧客満足度低下で「マクドナルド化」進行

文=松井克明/ジャーナリスト

 分析の詳細は、小川教授による1月6日付YOMIURI ONLINE記事『「夢の国」東京ディズニーリゾートに異変の兆し』にまとめられているが、小川教授は著書『マクドナルド 失敗の本質―賞味期限切れのビジネスモデル』(東洋経済新報社)でファストフード大手、マクドナルドの戦略ミスとその後の苦戦についても指摘しており、TDRも苦戦の続くマクドナルドと同じ道をたどりかねないと警鐘を鳴らすのだ。

マクドナルド症候群

 小川教授はTDRの現状について次のように分析する。

「そもそもは2年前の2013年、30周年記念でがんばって3130万人と顧客(ゲスト)を増やした。客単価(1万1076円)も増えて、売り上げが伸びた(4736億円)。ここでいったんバルブを閉めなおせばよかったのですが、その水準を保ちながら今後10年で5000億円投資をしようとする。しかし、客単価は顧客のフトコロに限界がありますから、客数を増やそうとなる(稼働率=回転率)。このしわ寄せがゲストの詰め込みすぎで顧客満足度(CS)を下げ、コストカットとなってキャストに及んでいるというのが現状です」

 この現象はかつて、マクドナルドの顧客が離れていった理由と同様だ。この現象を小川教授は「マクドナルド症候群」と呼ぶ。

「マクドナルドのCS低下の最大の原因は、利益が欲しいために、店舗のキャパシティー以上に客数を増やそうとしたことでした。カウンターからの『メニュー表の撤去』や、オペレーション効率を上げるための『60秒キャンペーン』もそのための方策だった。ロイヤルティーとして売り上げの3%を得ている米国本社は、売り上げが増えればうれしい。しかし、人件費の削減と混雑のために、サービスが劣化し店舗が汚れ、居心地が悪くなり、CSが低下した。これが『マクドナルド症候群』です」(小川教授)

 ゴール設定は、集客数や最終利益。顧客満足を犠牲にして、売り上げと利益を取りにいく。本当はキャパシティーにあわせて制限をすべき混雑が軽視される。混雑に対応できない数しかいない従業員に、顧客は不満を持ちリピート率は低下する。それどころか、環境の悪化でファミリー層を中心に顧客離れが進むようになるのだ。

「正直パスポートの値上がりはきつい。一回行くのに(家族が多く)10万は絶対使うので一年に何度も行けない。何日か前に予約したら割り引きになるとかあれば嬉しい」

「施設に入場すると何度行ってもワクワクします。ですが全体的にコストパフォーマンスは良くないと思います。並ぶ時間が短かければまた行きたいのですが、夏は体力的にきついです」

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