ディズニーR、深刻な客離れとブランド毀損の非常事態…4年連続値上がりが失敗か
しかし、具体的に何をどうするのかを示さなければ顧客はわからないし、単なる値上げでしか感じない。23年の目指すべき姿として「世代を超え、親子や夫婦など、あらゆる形態のファミリー」をターゲットにするとしているので、高いレベルのサービスと安全清潔、魅力的なデザイン、17年に開設される新アトラクションに期待したい。
キャスト(従業員)質の低下は顧客離れにつながるか
キャストの質がとてもブランド価値満足度において重要な要素であることは間違いない。長崎のハウステンボスでも、従業員の意識など質を向上させてさまざまな新しい試みを実行して成功した例からもわかるが、キャストの質を向上させる施策を打ち、若者が活躍する仕組みをつくり、キャストも顧客もワクワクするようにしなければ、ディズニーブランドの向上は見込めないだろう。
筆者が最も気になるのは、オリエンタルランドが米ディズニー本社と資本・人的関係はないという点だ。フランチャイズ(委託)システムだと両社の意識の違いが起こる懸念がある。たとえば筆者が勤務していた日本コカ・コーラであれば、全世界のブランドマネージャーは米コカ・コーラ本社の方針を徹底的にマスターして、毎年全世界戦略に基づいて行動する。
お土産儲けビジネスでは、もう限界なのか?
TDLにおける一人当たりの物品購入額は4,043円(14年度)となっているが、直近の報告書では若干これを下回ったという表現になっている。売上構成比では少ないものの、ディズニーの物品売上が少なくなっているのは、ブランド価値が下がっている予兆と考えても良い。
オリエンタルランドグループは、企業使命として「自由でみずみずしい発想を原動力に すばらしい夢と感動 ひととしての喜び そしてやすらぎを提供する」を掲げているが、今後のさらなる成長に期待したい。
(文=山本康博/ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役)