1本5千円のワインボトル入り高級茶がバカ売れ…ロイヤルブルーティーの「全員ハッピー」戦略
(2)営業
飲食店などへの営業は、基本的には佐藤節男会長を中心としたトップセールス方式を採用している。プレミアム商品の場合、企業の方針や商品のコンセプトなどをしっかりと相手先に理解してもらう必要があるからだ。
また、食事をしながらロイヤルブルーティーを楽しむことができる機会として“茶宴”を催し、仕入れ決定権のある担当者2人を招くことも行われている。一見、手間やコストがかかる方法に思えるが、高価格なプレミアム商品であるため、ゆっくり味わってもらうことが重要であるとの考えによる。また費用対効果の面でも、この方法は極めて良いとのことであった。
さらに、顧客の飲食店に対する、「ロイヤルブルーティーを常時飲めるようにしてほしい」という要望を踏まえ、飲食店からの引き合いにより採用が決定する場合も少なくないようだ。ちなみに、一流レストランやホテルとの取引においては、おいしさはもちろんのこと、RBTJがトップクラスの国際的な品質管理基準であるSGS-HACCP認証を得ていることも効果的に作用している。
(3)流通
創業当初、資金的余裕は一切なく、よって消費者相手ではなく、飲食店やホテルを主たるターゲットにしてビジネスを始めている。その後、飲食店でロイヤルブルーティーを飲んだ消費者がソーシャルネットワーキングサービス(SNS)などに書き込み、拡散していくという口コミ効果によって大きな話題となり、百貨店やネットを通じた小売りにも着手している。現在の大まかな割合は、卸売:小売=1:1となっており、小売りの半分はネット販売によるものとなっている。
(4)価格
ボトルドティーの価格は、もっとも安いダージリンでも2800円、2016年に発売した“MASA super premium”にいたっては30万円となっている。ちなみに、この売価でも赤字だったという。さらに、“HOSHINO Super Premium”は、60万円だ。ボリュームゾーンの価格は5000円程度である。
商品価格の決定方針に関しては、「当社は平和産業であり、平和維持価格です」とのことであった。一般には高いと思われがちな価格だが、「当社の商品には、その価値があるという自信」「自社、農家、消費者の誰も泣かない、みんなが幸せになるための正当な価格」という意味が込められている。「本当の高級ブランドのビジネスモデルは、みんながハッピーで誰も泣かない世界である」ともいう。ちなみに、レストランなどの飲食店におけるワイングラス1杯の価格は、1000~3000円程度となっている。レベルの高いワインと同程度の価格帯といえるだろう。
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