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金子智朗「会計士による会計的でないビジネス教室」

「働き方改革」の虚妄…まず自分の仕事時間の使い方を分析→見たくない現実を直視しよう

文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表

働き方改革とは付加価値活動時間の比率を高めること

 労働生産性を高めるために必要なことは、付加価値を生み出す“付加価値活動時間”の比率を高めることだ。そのために、まずやるべきことは、各人がどのような活動に時間を費やしているかを明らかにすることだ。

 ここでいう“付加価値活動”の定義は明確だ。付加価値とは要するに利益のことであるから、直接的・間接的に利益に結び付く活動時間のみが付加価値活動時間である。もしあなたが時間単位でクライアントと契約するコンサルタントだとすれば、クライアントに請求できる“チャージャブル・タイム”だと思えばわかりやすいだろう。

 たとえば、営業という職種においてもっとも付加価値がある活動は、なんといってもお客様と会っている時間だろう。では、お客様と会っている時間比率はどれくらいかというと、私のコンサルティング経験からいうと、多くの場合20%台止まりなのである。それ以外は、会議、移動、そして社内の雑務に多くの時間が取られている。それで、「時間が足りない」「猫の手も借りたい」と言っているのである。残念ながら、会議、移動、雑務に費やした時間のほとんどはクライアントにチャージできない。それらを猫に手伝わせたら、猫にも失礼である。

 付加価値活動時間の比率は簡単に測定することができる。1~2週間、各人が何にどれだけ時間を使ったかを記録してもらえばいいのだ。ほとんどの場合、とてもクライアントに請求できないことばかりに多くの時間を使っている。

 そのような“非付加価値活動時間”だけを削減するのだ。そのためには、仕事の進め方を根本から見直すことが不可欠になるはずだ。それこそが本当の「働き方改革」である。
(文=金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表)

金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表

金子智朗/公認会計士、ブライトワイズコンサルティング代表

1965年神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業。東京大学大学院工学系研究科修士課程卒業。卒業後、日本航空(株)において情報システムの企画・開発に従事。在職中の1996年に公認会計士第2次試験合格。同年プライスウォーターハウスコンサルタント(株)入社。2000年公認会計士登録し、独立。2003税理士登録。2006年ブライトワイズコンサルティング合同会社(www.brightwise.jp)設立、代表社員就任(現任)。
ブライトワイズコンサルティング

Twitter:@TomKaneko

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