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【鉄道安全レポート】人身事故概況(2014年)

鉄道人身事故、路線別に驚きの特徴?東横線は若者が4割、田園都市線は50代以上が6割…

文=佐藤裕一/回答する記者団
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鉄道人身事故、路線別に驚きの特徴?東横線は若者が4割、田園都市線は50代以上が6割…の画像1昨年一年間に、人身事故の多かった路線で死傷した人の年齢構成(筆者まとめ)

 昨年1年間に発生した鉄道の人身事故で、死傷者の年齢や年代がわかっている事故のうち、全体の約6割を30代から60代が占め、高齢者と20代以下の若者はいずれも2割前後だったことが筆者の集計でわかった。

人身事故が多かった全国の主要20路線を調べてみると、東急東横線は20代までの若者が4割以上を占めた一方、東急田園都市線は50代以上が6割に近く、小田急小田原線では40代以下が8割に達した。

 対象の20路線では、昨年420件(速報値)の人身事故が発生し、死傷者の有無がわからなかったケースを除くと、368人が死傷した。性別の内訳は男性254人、女性113人、性別不明1人だった。

 対象路線と発生件数、死傷者数、事故の発生割合は次の通り。

【東日本旅客鉄道(JR東日本)】
・中央線…40件(死亡30人、負傷5人、不明5人、9.1日に1件)
・京浜東北線・根岸線…32件(死亡18人、負傷5人、不明9人、11.4日に1件)
・常磐線…27件(死亡23人、負傷3人、不明1人、13.5日に1件)
・総武線…22件(死亡15人、負傷4人、不明3人、16.6日に1件)
・東海道線…18件(死亡15人、負傷3人、不明0人、20.3日に1件)
・宇都宮線…18件(死亡14人、負傷2人、不明2人、20.3日に1件)
・高崎線…12件(死亡10人、負傷0人、不明2人、30.4日に1件)

【西日本旅客鉄道(JR西日本)】
・神戸線…27件(死亡19人、負傷7人、不明1人、13.5日に1件)
・山陽本線…23件(死亡18人、負傷3人、不明2人、15.9日に1件)

【九州旅客鉄道(JR九州)】
・鹿児島本線…24件(死亡22人、負傷1人、不明1人、15.2日に1件)

【東武鉄道(東武)】
・東武東上線…33件(死亡26人、負傷3人、不明4人、11.1日に1件)
・東武伊勢崎線…18件(死亡11人、負傷2人、不明5人、20.3日に1件)

【小田急電鉄(小田急)】
・小田急小田原線…22件(死亡12人、負傷3人、不明7人、16.6日に1件)

【京王電鉄(京王)】
・京王線…20件(死亡14人、負傷0人、不明6人、18.3日に1件)

【西武鉄道(西武)】
・西武新宿線…20件(死亡13人、負傷4人、不明3人、18.3日に1件)
・西武池袋線…9件(死亡7人、負傷2人、不明0人、40.6日に1件)

【東急電鉄(東急)】
・東急田園都市線…17件(死亡12人、負傷4人、不明2人、21.5日に1件)
・東急東横線…12件(死亡8人、負傷3人、不明1人、30.4日に1件)

【阪急電鉄(阪急)】
・阪急京都線…16件(死亡14人、負傷3人、不明0人、22.8日に1件)
・阪急神戸線…10件(死亡9人、傷1人、不明0人、36.5日に1件)

 年代別では、20代までが72人(18%)、30~40代が101人(25%)、50~60代が107人(26%)、70代以上や高齢者が60人(15%)、年齢不明が126人(17%)。警察発表や報道を基に集計した。ただし、死傷者の身元がわからず「40~50代くらい」とされた場合は、40代と50代の両方に計上しているため、人数を合計すると実際の死傷者数を超える。

 職業に関しては有業者と無職がいずれも47人で、職業の内訳は、会社員や団体職員、薬剤師、店員、整備工などが40人、高校生11人、大学生・大学院生6人、中学生と小学生が各1人などとなっている。死傷者の7割にあたる256人は職業が把握できなかった。

 路線別の特徴は、死傷者の年齢・年代がわかっている事故に限ると、東急東横線は20代までの若者の割合が45%(4人)と最も高かった。職業が判明しているのは11人中4人で、学生(高校生)は1人。

 学生の死傷がわかっているのは、東武東上線と小田急小田原線が各3人、JR鹿児島本線、東海道線、東急田園都市線が各2人など。東武東上線は高校生2人と大学生1人、小田急小田原線は高校生、専門学校生、大学生が各1人、鹿児島本線は小学生と高校生、東海道線は高校生と大学生、東急田園都市線は大学生と大学院生だった。ただし、7割は死傷者の職業がわかっていないため、全体的な傾向を示せているわけではない。

 高齢者の割合が最も高かったのは東武伊勢崎線の46%。年代がわかっている15人中6人が高齢者だった。高齢者の割合が40%を超えたのは同線のみで、以下、阪急神戸線は33%(10人中3人)、JR高崎線は30%(12人中3人)、西武新宿線は29%(14人中5人)、JR神戸線は27%(24人中7人)と続いた。

 このほか、人身事故の多さで有名なJR中央線は、年齢性別がわかっている死傷者30人のうち、20代までが6人(20%)、30~40代が11人(37%)、50~60代が10人(33%)、高齢者が3人(10%)だった。

 JR中央線で死傷した人の職業は、会社員1人、高校生とみられる人が1人、無職が1人だった。職業がわかっているのがわずか3人というのは、警視庁が身元を公表することに消極的なためだ。逆に兵庫県警や神奈川県警などは、身元の公表に積極的だ。

 JR中央線と並んで人身事故が多い東武東上線は、年齢性別がわかっている死傷者36人のうち、20代までが8人(22%)、30~40代が14人(39%)、50~60代が11人(31%)、高齢者が3人(8%)で、学生3人、有業者4人、無職5人だった。

 3番目に人身事故が多かったJR京浜東北線・根岸線は、年齢性別がわかっている死傷者21人中、20代までが2人(10%)、30~40代が8人(38%)、50~60代が6人(29%)、高齢者が5人(24%)となった。職業は、2人が無職という以外は明らかになっていない。

 その他の路線の状況については、記事の末尾に死傷者の一覧を示したので見てもらいたい。また、記事では数字のみを示しているが、当然ながら実際には名前のある一人ひとりが死亡または負傷していることをあらためて付記しておきたい。

■鉄道人身事故の概況(2014年12月1日~31日)

 2014年12月中に発生した鉄道人身事故(踏切事故を含む)で、筆者が被害状況を把握しているのは105件に上り、高齢男性を中心に、10代から90代までの男女71人が死亡した。

※12月14日のJR日南線(南宮崎~田吉駅間)の事故は男性が軽傷を負ったが、特急列車と接触したのは遮断桿と判断し、集計からは除外した。

【死傷】
10歳未満 なし
10代 男性3名、女性4名
20代 男性6名、女性6名
30代 男性7名、女性1名
40代 男性7名、女性6名
50代 男性8名、女性6名
60代 男性10名、女性2名
高齢 男性11名、女性6名
不明 男性8名、女性2名、性別不明1名
(年代性別ごとの分布は、死傷者が「20~30代」という場合、「20代」と「30代」のいずれにも反映させているため、実際の死傷者数とは一致しない。また「40代くらい」など年齢が特定していないケースも多い)

 警察への取材や他社の報道から判明している被害状況は以下のとおり。

【12月1日 12時26分 名鉄名古屋本線 鳴海駅(愛知県)】
男性が名鉄岐阜行きの特急列車にはねられ死亡。

【12月1日 20時5分 東急田園都市線 田奈駅(神奈川県)】
ホームから転落した47歳の無職女性が中央林間行きの普通列車にはねられ死亡。

【12月1日 21時26分 JR信越本線 北長野駅(長野県)】
男子高校生が妙高高原行きの列車に接触した可能性があり搬送された。軽傷の模様。

【12月1日 23時30分 JR予讃線 伊予亀岡駅~菊間駅間(愛媛県)】
今治市菊間浜の線路内で49歳の無職男性が新居浜行きの特急はねられ死亡。

【12月2日 15時44分 小田急小田原線 本厚木駅(神奈川県)】
17歳の女子高校生が小田原行きの急行列車にはねられ頭部を負傷。

【12月2日 16時22分 東急田園都市線 市が尾駅(神奈川県)】
59歳の無職女性が南栗橋行きの急行列車にはねられ死亡。

【12月3日 15時57分 JR東海道線 茅ケ崎駅~平塚駅間(神奈川県)】
25歳の女性が小田原行きの湘南新宿ライン特別快速にはねられ死亡。

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