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ここで「(4)ネットワーク力」とはまさに出口さんの「人・本・旅」と同じ、つまり「異体験から感じろ、学べ」ということなのだ。それらの異体験をしっかり「(3)観察」すること。そして私が経営者やその卵の方たちに指導しているのが「(2)質問」をして掘り下げろ、ということだ。質問をすることは時に勇気が要るが、それを乗り越えて習慣とすると自分なりの知見が獲得できるようになる。
(3)と(2)の過程を通して取り込み咀嚼した異体験を、自らにある既知識と「(1)関連づける」。そうすると新しい考えや見方、イノベーションが醸成される。ユニークな経営技法やアイデア、戦略は、そんなプロセスから生まれる。出口さんとクリステンセン氏、私が東西で尊敬する両知識人は同じプロセスを指摘し、推奨している。是非2人の著書から学んでほしい。
第2ステージへの挑戦
創業9年目に入ったライフネットの業績は今、踊り場にきている。「日本の生命保険料を半額に」「子育て世代にやさしい生命保険を」という理想主義に燃えて発足した同社は、2008年5月の営業開始以来、20代や30代の若年層の支持を受け、順調に保険加入者数を伸ばしてきた。
しかし新規の契約獲得数は、12年度の6万件超えを境に減少し始め、14年度ではピーク時の半分以下になってしまった。同社に続いてのネット生命保険の新規参入が続き、現在では8社が競合するようになったからだ。
今年に入り、ライフネットは新しい基軸を打ち出している。4月にはKDDIからの資本受け入れを発表し、保険料も大幅に下げた。さいわい、生命保険会社としてソルベンシーマージン比率(支払い余力)はとても高く、財務的には安定している。KDDIの資本関与で知名度と信頼度の補完が得られるだろう。
業界で初めて手数料など保険料の内訳を開示したり、「正直な経営」を掲げるなど、出口さんの経営にはそのお人柄と同様、尊敬する点が多い。今展開している新しい施策は、クリステンセン氏がいうところの「(5)実験力」に当たる。イノベーティブな創業経営者、出口さんにはぜひいろいろ経営実験をして、ライフネットを第2の成長ステージへ導いてほしい。
(文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役)
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