高齢者の方の「整理収納」問題…“思い出のモノ”を捨てずにすむための方法
「整理収納」という仕事
「整理収納」というワードをお聞きになったことはあるでしょうか?
「整理業」といってしまえばひとくくりになりますし、「整理収納」というワードで仕事をしている人も、実際の仕事内容はさまざまです。「整理」や「収納」に関する書籍も多数出版されています。
私は「整理収納コンサルタント」として仕事をしていますが、整理収納アドバイザーや整理収納コンサルタントという資格を保持しています。資格の有無に関係なく仕事はできますが、わかりづらい分野の仕事になるので資格があったほうがお客様に伝わりやすいと思い、取得しました。
整理収納アドバイザーという資格は、特定非営利活動法人ハウスキーピング協会が認定しています。この資格を取得して整理収納アドバイザーとして活動されている方ももちろんいらっしゃいますが、引っ越し業者のスタッフの方やインテリアに携わる方なども、基本となるお仕事内容のプラスアルファとして取得されている方が増えています。海外の動画で大変活躍されている方や、書籍やセミナーを開催されている方、実務として整理収納作業を行う方などさまざまです。
私の整理収納コンサルタントとしての仕事内容は多岐にわたります。実際にお客様のご自宅にお伺いさせていただき、一緒に「整理収納」をさせていただくことが主な仕事です。ご自宅といってもさまざまで、ご高齢者の方のお宅、高齢者施設に居住中の方、リフォームやリノベーション前の方、お子様がまだ小さい方など、ご依頼を頂くお客様の年齢や整理収納を希望される場所は多岐にわたります。そのため、同じ仕事はひとつとしてありません。
整理収納コンサルタントの仕事は、まだ認知度がとても低い仕事です。この仕事に就いたきっかけをよくご質問いただきます。「なぜ整理収納の仕事をしているのですか?」「よほど綺麗好きなのですか?」「A型ですか?」などなど。しかし、私は特別綺麗好きでもなく、きっちりイメージのA型でもありません。どちらかといえば、ざっくりな性格です。
そんな私がこの仕事を始めたきっかけは、現代における「必要性」を感じたことでした。経済成長を遂げた日本では、多くの物が存在し、また安価に手に入る時代になり、家にはたくさんの物が溢れています。家の空間が好きでインテリアコーディネータを考えていた私は、その家の全体的なコーディネートをしてプラスにする仕事よりも、「引き算」する仕事も必要ではないかと考えるようになりました。つまり、必要でない物を「取り除く」という作業です。
家の整理収納の場合、目的は暮らしやすく、快適な家をつくることですが、その家をつくるにも好きなモノを生かして、活かせるようにするには、その大切なモノがどうでもいいモノに埋もれないようにすることが必要です。また、清潔でストレスなく快適に暮らせる環境づくりとしても整理収納が大切だと感じました。そうした「引き算」する役割になろうと思い、この仕事に就くことを決めました。