若者既婚者の約半数が結婚前に同棲経験?同棲に潜む意外なリスク
9月30日、筆者の新刊『恋愛しない若者たち ~コンビニ化する性とコスパ化する結婚』(ディスカヴァー21)が出版された。テーマは「恋愛しなくても、結婚はできる!」。
ここ数年、20代男女から、「恋愛は面倒」「コスパに合わない」との声をよく聞く。一方で、9割の若者は言うのだ。「いつかは(恋愛)結婚したい」と。
この矛盾を解消するためには、「結婚に恋愛は要らない」と、いったんスパッと切り離して考えるしかない。それが本書を執筆したきっかけだった。
本連載前回記事『恋愛はコスパで判断?デートよりゲーム、同棲はお得…「専業主夫」肯定派も急増』は、不景気しか知らない今の若者が恋愛や結婚にもコストパフォーマンス(コスパ)を求める現実と、コスパに見合う恋愛や結婚の具体案について書いた。
拙著『恋愛しない若者たち』を執筆するにあたり実施した定量調査において、85%と圧倒的な支持を得た「同棲」をはじめ、「彼女のほうが収入が上」「彼のほうが料理上手」など、一般的な立場と「逆転」しているカップルの実例なども紹介した。
特に同棲は、家賃や生活費をシェアできるだけでなく、結婚に向けての“お試し期間”として「やってみたい」と希望する若者が多い。さらに注目したいのは、実際に同棲してみた男女が「(共同生活に)自信がついた」として、その後の結婚へとつながるケースが少なくないことだ。
たとえば、住まいの情報サイト「アットホーム」が2013年、既婚者を対象に行った調査によると、20代ではなんと43.9%の男女に同棲経験があり、彼らのうち「同棲してよかった」と回答した割合は、実に7割にも上った。
さらに、少し古いが複数の調査結果でも、同棲経験者(女性)の6~7割が「同棲相手と結婚した」と答えているのだ(08年・オーネット/06年・第一生命経済研究所ほか)。
「お試し感覚」の同棲のリスク
たとえば、2年前から「お試し感覚」で同棲を始めた出版社勤務のアキ(24歳)のケースを見てみよう。寂しがり屋で家事嫌いを自認する彼女は、これまで短いながらも付き合った男性は、ご飯をつくってくれる人だったという。
今の彼と同棲した理由も、「健康になれる」ことだった。彼が栄養バランスのよい手料理を、毎日のようにササッとつくってくれる人だからだ。
アキの妊娠が判明したのは、4カ月前。毎月、ほぼ28日周期で訪れていた生理が来ないため、不安になって妊娠検査薬を買って試すと「陽性」反応。最初は怖くて病院にも行けず真っ青になったが、様子に気付いた彼が「もしかして」と察知してくれた。
結果、二人で訪れた産院で、医師から「おめでたです」と妊娠8週目を告げられた。恐る恐る彼の顔を見上げると、「マジっすか」と満面の笑み。その瞬間、アキはホッとしたあまり、診察室の椅子から落ちそうになったという。