若者既婚者の約半数が結婚前に同棲経験?同棲に潜む意外なリスク
またシンガポールでも、結婚前の婚約段階で、新築物件に優先的に申し込める「公団住宅の優遇制度」などがある。「結婚すればお得」というコスパ感覚をアピールし、未婚・少子化の対策に国を挙げて乗り出しているのだ。
こうした制度が、結果的に出生率の上昇につながっている国も多い。フランスのパックスも、もともとは同性愛カップルの保護のために成立したものだった。しかし、一方の意思のみで契約解消ができることに加え、税金などの優遇措置も受けられるという利点がうけて、異性愛カップルにも選択者が増加した。
そして出生率も、パックス制定前の1.78から、12年には2.01と大幅に増加した。パックスがフランスの少子化対策に貢献したのは明らかだ。もっとも、制度だけでは少子化対策にはならない。
中央大学文学部教授の山田昌弘氏は、『恋愛しない若者たち』のインタビュー取材中、次の名言を残した。
「日本は、ある程度お金のある人は忙しすぎて恋愛する時間がなく、お金がない人は
時間があっても自信がないため恋愛できない」
その通りだろう。フランスも、あくまでも男性の残業や勤務時間数を減らすなど、ワークライフバランスとの両輪で出生率の向上につなげた。日本もサービス残業やブラック企業を野放しにせず、そろそろ働く男女にプライベートな時間を解放してあげるべきだろう。一朝一夕にはいかないが、今から始めなければ間に合わない。結婚・出産の適齢期は限られているのだ。
恋愛の延長線上に結婚があってほしいと希望する若者が多い昨今だが、そもそも恋愛と結婚は相容れないものだ。むしろ「混ぜるなキケン」といったものであることについて、次回は言及したい。
(文=牛窪恵/マーケティングライター、世代・トレンド評論家、有限会社インフィニティ代表取締 編集=平澤トラサク/インフィニティ)