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尾木ママの「叱らない&ほめる子育て」は危険?評価を用いた子育てはよくない

文=日下部貴士/A4studio
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–嫌なことから逃げ続けてしまうことを覚えると、その結果、自身の好きなことやできることしかやらない人間に成長する恐れがありますね。子どもの頃や学生のうちはそれでもまかり通るかもしれませんが、大人になり社会に出てから直面する困難やトラブルに対応できなくなってしまうというのでは困ります。

 一方、認めるという行為は、評価とは違いしっかりと現実を見せて、子どもが行動して起こった結果を認識することです。いいことも悪いことも関係ありません。ただ事実だけを見て、それを認めてあげるのです。たとえば、お手伝いをしてくれたおかげで家事が早く終わったとか、ご飯をきれいに食べてくれたおかげで片付けの手間が減ったといったことです。そうすることで子どもは自分の行動で何かを変えることに面白さを感じ、他人からの評価は二の次になります。ほめることが「気持ちいい」の“快”だとするならば、認めることは「やりがい」の“甲斐”という文字で表せます。

罰を与えることがしつけではない

–ほめる子育てが主流になったことで、叱れない親が増えているとの指摘があります。

 少子化で一人の子どもを大事にする親が増えたのだと思います。しかし、大事にするといっても父親と母親の両方が逃げ込む場所になってはいけない。反対にどちらも厳しく、逃げる場所がないというのも問題です。一方が優しいのであれば、もう一方は厳しくする。昔からそうだったように、どちらに偏ってもいけないのです。

–昭和の時代は父親が厳しく、母親が子どもをなだめるというのが一般的だったように思います。それぞれの役割を固定する必要はないのかもしれませんが、どちらも同じスタンスで接するのは避けたほうがいいということでしょうか。

 そうですね。ただ、しつけという名の虐待が行われているのは問題です。もちろん厳しくしつけるのは悪いことではありません。しかし、罰を与えることがしつけだと勘違いしている親御さんも中にはいらっしゃいます。本来しつけというのは、社会で生きていくために必要な規範や礼儀作法などの立ち振る舞いをできるように訓練することです。そうであれば、正しいしつけとは子どもが何か間違ったことをした際に、その結果どのようなことが起きるのかを理解させることではないでしょうか。子どもがハサミを持って走り回っていたときに、「危ない」と言ってただ取り上げたり叩くのではなく、何がどう危ないのかを教えることが重要なのです。

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