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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

「まともな食事」崩壊で命を危険にさらす日本人!栄養素スカスカ加工食品まみれで病気蔓延

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

 本来であれば、国民を救済し、健康を取り戻し、ゆくゆくは国家の経済の立て直しにまで貢献できたであろう優秀な政治家をアメリカは失いました。そしてマクガバン氏の失脚後に多大な利益を上げた企業・団体にとっては、アメリカ国民の健康よりも優先すべきものがあったということです。日本でも同様のことが今現在、行われていることに気づいている方はどれほどいるでしょうか。

 黙殺されたはずのマクガバンレポートですが、その正しさを知った一部の方には受け入れられて、徐々にアメリカ人の食生活の内容は変わっていったのです。そのひとつの象徴が野菜の摂取量であるといえるでしょう。

食物繊維が不足している日本人の食生活

 翻って日本の現代の食事情を考えてみると、危ういところが数多見受けられます。その最たるものは、加工食品の氾濫です。食品の加工段階では、重要な栄養素が失われてしまいます。食物繊維もそのひとつで、重要性はほとんど無視されていますが、今後注目されることを期待してやみません。

 食物繊維は炭水化物の一種ですが、人間の消化酵素では分解されません。そのため役に立たないものとして扱われて軽視されてきましたが、近年に至ってその有用性が指摘され、今では摂取基準さえ設定されています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2015年版)では、1日の目標量として成人男性は20グラム以上、成人女性なら18グラム以上の食物繊維を摂取することが望ましいとされています。また厚労省は「食物繊維摂取量との関連が検討された生活習慣病は多岐に及ぶ」とも言及しています。

 これだけ重要視されている食物繊維ですが、筆者はそれをサプリメントで摂ることには基本的に反対です。それより、まともな食事をすればいいという考え方です。ごはんを白米ではなく、3分づきや玄米などの精製度の低いものにし、豆類を積極的に食べ、野菜中心の食事を構成し、補う程度の動物性たんぱく質を摂り、朝食は果物にする、といったメニューにすることで十分な量の食物繊維が摂取できます。

 要は、私たちの食事を自然に近いもので構成するということです。それには、多くのお金もかからず、大した労力も必要とはしません。高度な技術がいるわけでもなく、高価な設備も不要です。それを実行しない理由を見つけることのほうが難しいくらいです。現状の食事内容で、私たちが失っているものを考え合わせると、食事のあり方を見直し改善することが、どれほど私たち自身を幸福に導くかということがわかるでしょう。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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