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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

画期的な薬が続出で命が救われる一方、その高額医療費を健常者が負担、国民皆保険崩壊も

文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

 不治の病に特効薬ができて治せる病気となったのなら、最善を尽くして治したいと思うのは誰でも同じでしょう。しかし、その高額薬剤の費用の負担は、健常な人も含めた国民全体に及び、税金や保険料の負担が増えていきます。

 医学の世界では、コストの話はタブーで「治療に関わるコストは国が考えるべき。経済的なことは医療現場で考える問題ではない」という風潮があります。

 これまでにも、治療法などについて、医学界では「ガイドライン」を策定して専門医の間で治療の際に活用されてきました。コスト面に対しても、今後は高額薬剤が医療全体に与える影響も考慮しながらガイドラインをつくっていく必要があるのではないでしょうか。

 今まさに、このオプジーボというひとつの薬剤の登場によって、現代の日本の医療が抱えている問題が浮き彫りになりました。

 現在の国民皆保険の仕組みでは、どんなに高額な薬剤でも、医療用医薬品として認められれば、医師の処方によって誰でも使うことができるようになります。実際にオプジーボが100歳の患者に使用された例もあるようです。

 オプジーボのように極めて高額な薬剤も、「お金持ち」だけが使えるのではなく、国民誰でも使える薬になりました。これは素晴らしいことかもしれません。しかし、「夢の新薬」が日本を滅ぼすことのないように、高額薬剤の使用と費用負担のあり方を私たちは今から真剣に考えなければならないのではないでしょうか。
(文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士)

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士

薬剤師として20年間医療の現場に身を置く中で、薬漬けの治療法に疑問を感じ、「薬を使わない薬剤師」を目指す。現在は、自らの経験と栄養学・運動生理学などの豊富な知識を生かし、感じて食べる「感食」、楽しく歩く「ハッピーウォーク」を中心に、薬に頼らない健康法を多くの人々に伝えている。『薬剤師は薬を飲まない』(廣済堂出版)、『薬が病気をつくる』(あさ出版)、『日本人はなぜ、「薬」を飲み過ぎるのか?』(ベストセラーズ)、『薬剤師は抗がん剤を使わない』(廣済堂出版)など著書多数。最新刊は3月23日出版の『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』(河出書房新社)。

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