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離職率16%…「介護職=4K労働で悲惨」は誤解、やり甲斐や誇り持ち働く人々

文・取材=道明寺美清/ライター
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出演者にとっても「私の映画」

『ケアニン』が観る人を惹きつける理由のひとつは、出演者たちの深い演技だ。その深い演技の裏には、出演者たちの介護に関する経験があった。認知症の老人を演じる女優・水野久美は長年、生活を共にした家族のような付き人がいた。しかし、その付き人が認知症になり、悲しくも認知症の進行を身近な人を通して体感している。水野にとって『ケアニン』は「私の映画」であり、映画に対する思い入れは強い。

 ほかの出演者たちの多くも、現在進行形で親の介護をしている、祖父母の介護をした、実際に介護施設で働いているなどの体験を持っており、それぞれにとって「私の映画」だった。監督の鈴木浩介氏も数年前に母親が他界するまで介護施設を実際に利用した経験があり、まさに「私の映画」だった。そういった監督や出演者たちの経験が、『ケアニン』をより深い映画につくり上げている。

 山国氏が介護施設を取材するなかで、「看取りをちゃんと描いてほしい」と言われ、驚いたそうだ。山国氏は「看取りは描くべきではない。どちらかというと避けるべきだ。一生懸命に介護をしてもその先に死があるなんて、ただつらいだけではないのか」と最初考えていた。しかし、介護を仕事とする多くの人から、「人生の最期に寄り添う看取りは、自分たち介護職にとって大変意味のある仕事」と聞いて、映画の中でしっかり描くことにしたという。人生の最期は、誰もが避けらない一瞬であり、どのように迎えるかというのは人生において最も重要なのかもしれない。また、その最期を看取ることも重要であることは間違いない。

 これまでも山国氏は、手がけた映画の上映会展開を見据えてきた。映画館での公開後、公民館や学校などの小さな上映会で、人から人へと広まっていくような映画をつくることにこだわっている。上映会向けの映画であるからこそ、観た人が遠い世界の話ではなく自分のこととして捉え、かつ自分の近しい人たちと一緒に話し考えるきっかけになれるのだ。

『ケアニン』も同様に上映会展開を見据えた映画であり、映画館での公開後は、上映会主催者へのDVD貸し出しを行う。上映会は誰でも主催することが可能だ。まだ劇場公開中にもかかわらず、上映会の問い合わせが増えているという。

 東京での劇場公開日の7月22日には、丸の内TOEIにて舞台挨拶がある。読者諸氏も足を運んでみてはどうだろうか。
(文・取材=道明寺美清/ライター)

問い合わせ先: care-movie@w-lab.jp

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