本書の良いところは、読めばその選択の結果がある程度予測できることだ。たとえば、「一生賃貸物件で暮らした場合」「海外留学した場合」など、収録されている23のテーマはどれも「言われてみると気になる」選択の末路ばかり。
なかには、「いつも不機嫌そうな上司の末路」「電車の『中ほど』まで進まない人の末路」など、ごくごく身近なテーマもある。
「最初は『地球』とか『宇宙』とか、もっと壮大なスケールのテーマを予定していたんです。でも、実際に考え始めてみると、身近なテーマばかりが思いつくんですね。『電車の中ほどまで行かない人』などは、まさにそうです。これは、私自身が『なんでだろう』と気になっていることでした」(同)
本書に収録された23の末路のうち、鈴木氏が取材時にもっとも印象に残ったのが「バックパッカーの末路」だという。
「バックパッカーに憧れる人は多いと思うんですよ。世界中をバックパックひとつで旅するなんて、かっこいいじゃないですか。私も憧れた1人です。しかし、現実的に考えると、長期間の放浪生活をするには相当の覚悟が必要。その間、職歴はなくなるし、帰国後の再就職もどうなるかわからない……。そんな問題点が積み重なって断念する人は多いはずです」(同)
そんな思いから本書では元バックパッカーたちに取材しているが、その際、鈴木氏はこんな言葉を聞くことになる。それは「バックパッカーをして後悔した人に会ったことがない」というものだ。
「なぜなら、『人生において自分で下した大きな決断には、決して後悔することはないから』と言うのです。その言葉を聞いて、ハッとしました。人生、後悔していたら生きていけないんですよ。
もし、何か迷っている人がいたら、本書を読んで、その選択にどんな結果が待っているのか、その一端を知ってほしい。怖い気持ちや不安がまぎれて『よし、挑戦してみよう』となるかもしれません」(同)
友達ゼロのほうが幸せな人生を送れる?
タイトルには「末路」という言葉が使われているが、本書で検証しているさまざまな選択の結果は、必ずしも悲惨なものばかりではない。鈴木氏は「『友達ゼロの人の末路』は、まさにそう」と言う。
「『孤独な人生を送るんだろうな』と思うでしょうが、実際はそうでもない。むしろ、友達がものすごく多い人よりも、友達ゼロの人のほうが幸せな人生を送れる可能性すらあることがわかりました」(同)
「子供を作らなかった人の末路」も同じだ。「子供を作ること=幸せ」というのは固定観念にすぎない。本当はもっといろいろなものの見方や考え方があるのに、「ひとつの視点で捉えようとする人が多い」と鈴木氏は語る。
『宝くじで1億円当たった人の末路』 「友達がゼロの人」「子供を作らなかった人」「家を買わなかった人」……普通の会社員が下した選択を待ち受ける、23の末路。みんなとは違うけど、読み進むほど心が軽くなる!