K ガム女は皮膚消毒をした後に、採血する部分を指で触り、あろうことかそのまま針を刺したんです。「えー、消毒した意味ないやん!」って心の中で声を大にして突っ込みました。
——それは医療行為としては、ありえないのですか?
K 彼女の手に付着した菌が、注射針を伝って私の血管に入ってしまうことになりますから、絶対にありえない。そして、血液採取が終わって、針を抜きながら、「もし、あとでここが青くなっても、痺れたとしても問題ないので」って言ったんです。これにも、「えーーー」って。青タンは仕方ないにしても、痺れは絶対にダメ。それは神経に当たってしまったということですから。
——神経に当たると、どうなります?
K 麻痺などを引き起こして、最悪、一生治らないこともあるんです。それだけに、採血の時は気をつけなければいけないのに…。キチンとした病院では、針を刺した瞬間、「今ビリビリとシビレませんでしたか?」と確認して、問題なければ血液を採取するという手順を踏んでいます。しかしそのガム女は、確認をするどころか「痺れても問題ない」って言うんです。「やっぱり、この耳鼻科は最低やわ」って改めて思いました。
こうして、数々の信じ難い検査は終了。待合室へと戻ったKさんは、疑問を直接、院長にぶつけようと考える。そして、院長から検査結果を説明される順番となった。
K 院長から「やはり蓄膿ではない」と報告されました。当たり前の結果にイラッとしたので、「吸入はなんのためにさせられたんですか?」と尋ねました。すると院長が、「ここはファミレスではないので、そこまで丁寧な接客ではないんですよ」と答えた。私も頭に来て、「説明ってファミレスでしかしてもらえないものでしたっけ? あ、ここはガムを噛みながら仕事されるんですか?」と言った。そうしたら、少し離れたところにいたガム女が、目を見開いて、ガムを噛みながら私のほうに向かってきて、「お前なんやねん!」って怒鳴りました。
——ほかにたくさん患者が見ている前で?
K そうです。そこで院長が「ここで治療をする気はあるのか?」と聞いてきたんです。私は、このタイミングで帰るのは悔しいけど、もう無理やなって思ったんです。それで、「(治療する気は)ありません」って言った瞬間、院長が「強制退去やーーー!!!」っていきなり怒鳴って、もうこれにはビックリ…。ガム女も「早よ出て行けや!」って畳み掛けて来て。
感染したら「死んだらええねん‼︎」
——まだ会計とか済ませてないですよね?
K そう。だから、「え?帰っていいん?お金払わんでいいん?」って出て行こうとしたら、ガム女が「逃げよる!捕まえー!!」って飛んできて、受付の女も「お金払ってください」って。
私「あんたらが出て行け言うから」
受付「お金払ってください」
私「それやったら、さっさとしいや」
中に戻って、そんなやりとりをしていたら、ガム女が「警察呼んで!」と言っているのが聞こえたんです。
私「どうぞ呼んでください」
ガム女「お前、金払って、さっさと出て行け!」
私「なんなら私が警察を呼んであげましょうか?」
その間に会計がされて、5000~6000円ほど支払った。不愉快な思いをさせられてこの金額。「バカらし~、あー耐えられへん、警察ほんまに呼んだろ」と思って110番したんです。で、警察が来るのを待っていたのですが、その間もガム女は採血の仕事が終わるたびに、私に向かって「お前、さっさと出て行けや!」って叫んできました。
私「警察呼ぶって言うたから、私が代わりに呼んであげたんやん。私は警察を待ってなあかんの。ところであなた、お名前は?」
ガム女「お前に言う必要ない」
私「ここで仕事をしている以上、名前を聞かれたら言わないといけない義務があるでしょう」
ガム女「あるか」
私「あっそ。それより、さっき採血した時、皮膚消毒した後にあなたの汚い手で触ってから針を刺したよね。感染したらどうしてくれるの?」
ガム女「死んだらええねん」
——その会話もほかの患者たちに丸聞こえですよね?
K はい。みんな巻き込まれないように、顔を伏せていましたね。その時、受付の女が私に、「直ちに退去しなければ不法進入で警察に通報する。金輪際、一切の出入りを禁止する」みたいなことが書かれた、退去命令の紙を出してきたんです。
——あまりにも手際が良すぎますね。こういったトラブルが度々あるから、そんな書類を事前に用意していたんでしょうね。
K そうこうしているうちに警察が到着すると、ガム女が、「外でやってください、うち関係ありません」と言い放ちました。私は頭に来て、「あなたが呼んでって言うたから警察が来たんやん!」と言うと、ガム女は無視して警察官に「診察の迷惑になるから、ここから出て行ってください」と、さっきまでとは打って変わった、しおらしい態度で言いました。警察官が、とりあえず出ましょうと、いったん外へ出たんです。私は警察官に一連の出来事を話しましたが、それに対してクリニック側は、「警察関係ない」「話すことない」としか言わないので、どうにも話が前に進みませんでした。
——警察もどうしたらいいのかわからなかったんでしょうね。