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榎本博明「人と社会の役に立つ心理学」

「攻撃的人間」の9つの特徴…かかわるとトンデモナイことになる!

文=榎本博明/MP人間科学研究所代表、心理学博士
「攻撃的人間」の9つの特徴…かかわるとトンデモナイことになる!の画像1「Thinkstock」より

それはほんとうに「正義感」なのか?

 
 他人の粗探しをする人は、どこにもいるものだ。本人は正義感を振りかざしているつもりなのだろうが、傍から見れば、どうでもいいことに「いちゃもん」をつけているようにしか思えない。昔からこの類の人物はいたが、ネット時代になってから、このような「正義」の仮面を被った攻撃行動が非常に目立つ。

 歌舞伎役者・市川海老蔵の妻の元アナウンサー・小林麻央さんが闘病虚しく亡くなったのは、多くの人びとに大きな悲しみを与えた。誰もが海老蔵に同情した。
 
 ところが、麻央さんが亡くなって5日後に、海老蔵が幼い子どもたちを連れて東京ディズニーランドにいるのを目撃され、ネット上で批判されるという事態が生じた。まだ妻の死から1週間も経ってないのに切り替えが早すぎる、喪に服すべきなのに立ち直りが早すぎるというのだ。だが、そんなことは他人が首を突っ込む問題ではないはずだ。

 家庭の事情など他人にわかるものではない。幼い子どもたちを元気づけたいということかもしれない。海老蔵にしても、ディズニーランドに子どもたちを連れて行ったからといって、妻の死によるショックから立ち直ったと他人が決めつけるのはどうなのか。本人は、落ち度のある人物を批判することで正義感を発揮しているつもりなのだろうが、果たしてそれは落ち度と言えるだろうか。

 ネット上の批判が異様に盛り上がるのが、著名人の不倫ネタだ。
 
 2016年のはじめ、音楽バンドのボーカルで既婚者の川谷絵音との不倫が報じられ、約3カ月の活動自粛を経て同年5月に復帰を果たしたタレントのベッキーも、激しいバッシングにあった。

 不倫が責められるのは当然のことではある。だが、しょせん自分にはまったく縁のない芸能界の話なのに、なぜそこまでムキになるのだろうか。不倫相手の奥さんへの謝罪がなかったといった批判が渦巻いたが、奥さんがどんな人かもわからないし、そもそも夫婦関係がどうなっていたのかもわからない。
 
 事情もわからないのに、奥さんまで引き合いに出してベッキーを叩く人。それは、果たして正義感で動いているのだろうか。

 2020年に開催予定の東京五輪で使用されるエンブレムのパクリ疑惑が大騒動となったのも記憶に新しい。エンブレムに当初採用されたデザイナー佐野研二郎氏のデザインに対して、「ベルギーのリエージュ劇場のロゴに似ている。盗作だ」とし、そのロゴの制作者から日本オリンピック委員会に使用差し止めを求める文書が送られてきた。これにより盗作疑惑が浮上し、盗作を否定する佐野氏も、ついに作品を取り下げざるを得ない事態となった。

榎本博明/心理学博士、MP人間科学研究所代表

榎本博明/心理学博士、MP人間科学研究所代表

心理学博士。1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、カリフォルニア大学客員教授、大阪大学大学院助教授等を経て、MP人間科学研究所代表。心理学をベースにした執筆、企業研修・教育講演等を行う。著書に『「やりたい仕事」病』『薄っぺらいのに自信満々な人』『かかわると面倒くさい人』『伸びる子どもは○○がすごい』『読書をする子は○○がすごい』『勉強できる子は○○がすごい』(以上、日経プレミアシリーズ)、『モチベーションの新法則』『仕事で使える心理学』『心を強くするストレスマネジメント』(以上、日経文庫)、『他人を引きずりおろすのに必死な人』(SB新書)、『「上から目線」の構造<完全版>』(日経ビジネス人文庫)、『「おもてなし」という残酷社会』『思考停止という病理』(平凡社新書)など多数。
MP人間科学研究所 E-mail:mphuman@ae.auone-net.jp

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