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榎本博明「人と社会の役に立つ心理学」

「攻撃的人間」の9つの特徴…かかわるとトンデモナイことになる!

文=榎本博明/MP人間科学研究所代表、心理学博士

 気になったのは、そうした騒動に便乗し、佐野氏の過去のありとあらゆる作品を検索し、それらと類似した作品を必死になって探しまくる人たちの存在だ。ちょっとでも似たものを見つけると、あたかも鬼の首を取ったかのように「このデザインはこれと似てる、パクリだ!」といった主旨の書き込みをする。毎日数千のツイートがあり、最も多い日は1万件を超えた。

 なんの縁もない人物、しかも政策問題などと違って自分たちに影響することもない事案に対して、多くの人がなぜそこまでムキになるのか。なぜそんなに興奮するのか。仕事をしているときよりもはるかに情熱を注ぎ、充実を感じていたりする。

 こうした現象が起きるたびに思うのは、興奮しながら批判する人たちを動かしているのはけっして「正義感」ではないということだ。

 このような人たちの深層心理を分析し、「正義」の仮面を被った「危ない人」から身を守るためのヒントを示したのが、筆者の最新刊『正しさをゴリ押しする人』(角川新書)である。            

「正義」の仮面を被った「危ない人」にみられる9つの特徴

 

「攻撃的人間」の9つの特徴…かかわるとトンデモナイことになる!の画像2『正しさをゴリ押しする人』(榎本博明/角川新書)

 では、そのような人たちを動かしているのが正義感でないとすると、いったいなんなのか。そこに漂うのは、「正義」の仮面を被った「攻撃性」。心理学の世界でよく知られている欲求不満-攻撃仮説が見事に見抜いているように、その攻撃性の背後にあるのは欲求不満だ。

 輝きたいのに輝いてない自分。活躍したいのに活躍できない自分。注目されたいのに注目されない自分。賞賛されたいのに賞賛してもらえない自分。思うようにならない現実のなかで鬱積した欲求不満が攻撃性を生むのである。

 このタイプを「正義の人」と勘違いして、うっかりかかわりを持つと、とんでもない目に遭いかねない。こちらがいつ攻撃のターゲットにされるかわからないからだ。そうした被害から身を守るには、このタイプの特徴を知っておくことが必要である。

 そこで、「正義」の仮面を被った「危ない人」にみられる9つの特徴をあげるので、参考にしていただきたい。

(1)自分と考えが違う人を批判する
 
 ひとつの見方に凝り固まり、自分以外の視点を想像できない。自分はこんなふうに考えるけど、立場が違えばものごとの見え方も違うし、人によっては違うふうに考えるかもしれない、といった発想がない。自分の見方が絶対に正しいと思い込むため、自分と違う考え方をする人がいると、「それは間違ってる」と攻撃したくなる。

榎本博明/心理学博士、MP人間科学研究所代表

榎本博明/心理学博士、MP人間科学研究所代表

心理学博士。1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、カリフォルニア大学客員教授、大阪大学大学院助教授等を経て、MP人間科学研究所代表。心理学をベースにした執筆、企業研修・教育講演等を行う。著書に『「やりたい仕事」病』『薄っぺらいのに自信満々な人』『かかわると面倒くさい人』『伸びる子どもは○○がすごい』『読書をする子は○○がすごい』『勉強できる子は○○がすごい』(以上、日経プレミアシリーズ)、『モチベーションの新法則』『仕事で使える心理学』『心を強くするストレスマネジメント』(以上、日経文庫)、『他人を引きずりおろすのに必死な人』(SB新書)、『「上から目線」の構造<完全版>』(日経ビジネス人文庫)、『「おもてなし」という残酷社会』『思考停止という病理』(平凡社新書)など多数。
MP人間科学研究所 E-mail:mphuman@ae.auone-net.jp

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