健康ブームの広がりを受け、サプリメントなどの健康食品を摂取する人が増えている。しかし、一方で健康食品を摂取することによる健康トラブルが急増中なのである。
国民生活センターが昨年8月に発表した「2016年度のPIO-NETにみる危害・危険情報の概要」によれば、健康食品によってなんらかの健康被害を受けた件数は、2014年度は583件だったが、16年度は1,866件まで増加。この2年間の間に、報告された数だけでも3倍にまで増加したことになる。
健康食品は品質管理・安全性の基準がない?
では、なぜ健康のために利用したはずの健康食品によって、健康被害がもたらされてしまうのか。健康管理士の早川弘太氏は次のように語る。
「健康食品による健康トラブルの多くはアレルギー症状で、皮膚に発疹ができたり、かゆみを感じたりすることが多いようです。健康食品に含まれる成分の中には、新しい成分や研究がまだ進んでいない未知の成分が含まれていることがあります。普段我々が食べているものでさえ、アレルギー体質の方が食べてしまえばアレルギー症状が起こったり、ひどい場合はアナフィラキシーショックを引き起こしてしまうこともあります。ですので、当然未知のものを体内に入れるというのは、かなり注意が必要でしょう」(早川氏)
健康食品によって不健康になってしまったのでは本末転倒だ。早川氏は、「健康食品は品質管理や安全性に関する基準があいまい」と警鐘を鳴らす。
「医薬品の場合、厚生労働省によってきちんと品質管理や安全性、副作用が報告されています。一方、健康食品は業界団体による認定マークはありますが、国が保証しているとか、基準を設けているかといえば、そうではない。機能性食品に関してはトクホなど、一定の基準があるのですが、それ以外のものは原料や成分、表示などの基準が設けられていないのです」(同)
そのため、健康食品に関しては企業がそれぞれのルールで製造・販売しているという。
「健康食品にはよく『〇〇100個分』、『〇〇1000個分』などと謳った商品がありますが、果たしてその栄養素をそれだけ摂って安全かどうかは、研究が進んでいないためわかりません。医薬品は動物実験や臨床試験などを行って安全性を確かめていますが、健康食品はカテゴリーでいえば食品なので、当然そんなことまではしていないのです。健康食品は食品だから安心と思われている方もいらっしゃいますが、必ずしもそうとは限らないんです」(同)
やはり国の基準がないというのは、利用者にとっても大きな不安だろう。