野菜や果物、魚などの生鮮物には使えないはずの添加物。ところが、スーパーマーケットで売られているパック入りのマグロやタコなどの刺身類には添加物が使われていることが多いのです。しかも、使用添加物が表示されていないという、悪質なケースもあります。
添加物は通常、加工食品を製造する際に使われます。食品衛生法では、「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう」(同法第4条)と定義しています。つまり、加工食品を製造する際に添加されるものであり、見方をかえれば、野菜や魚などの生鮮物には使えないということです。
ところが、魚やイカなどを切って刺身とし、パックに詰めると、加工食品として扱えるようになります。そのため添加物が使用可能となり、着色料や調味料、酸化防止剤などのさまざまな添加物が使われているのです。
たとえば、マグロの刺身の場合、酸化防止剤のビタミンCやビタミンE、pH調整剤などが使われています。ビタミンCとEは刺身が酸化して変質するのを防ぐために、pH調整剤は保存性を高めるために用いられます。
また、タコのぶつ切りには、酸化防止剤やpH調整剤のほかに、ミョウバンが使われています。ミョウバンは、歯ごたえをよくするために添加されているのです。
これらの添加物は一般的に、パックに貼られているラベルに表示されています。したがって、スーパーでパック入りの刺身を買う際にはラベルをよく見て、どんな添加物が使われているかを確認したほうがよいでしょう。
着色料使用を隠蔽?
ところで、パック入りの刺身類の場合、添加物がきちんと表示されていないケースもしばしば見受けられます。
1月下旬、筆者が千葉県内にあるスーパーの鮮魚売り場に行ったところ、パックに入った真っ赤な酢だこが売られていました。
明らかに赤い着色料が使われているのですが、添加物については、「調味料(アミノ酸等)」という表示しかありませんでした。これは、着色料の使用を隠蔽しようとしているとしか考えられません。
その商品を買って家に帰り、中身の酢だこを水に浸したところ、その水が赤く染まりました。赤い着色料が使われていることは明らかでした。市販の酢だこの場合、タール色素の赤102(赤色102号)が使われていることが多いので、この製品もその色から判断して、赤102が使われていると考えられます。