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南清貴「すぐにできる、正しい食、間違った食」

老後の認知症発症、「老前」の食事が大きく影響

文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事

 高齢になっても認知症にならず健康でいられるためには、なんといっても毎日の食事が一番大事なわけですが、そこに目を向ける人が少ないのはなぜなのでしょうか。もしかしたら、「食べるものなんて大した問題じゃない」「何を食べても同じだ」「おなかがいっぱいになれば、それでいいんだ」と、多くの人たちが考えているのかもしれません。

 もちろん、この連載をお読みくださっている方々は、高い意識を持って日々の食生活を送っていることと思いますが、そういう方は、まだ少数派なのでしょう。大半の人たちは、カップラーメンをすすって、菓子パンを食事代わりにして、休日には子供を連れてファストフードショップに行くといった生活なのかもしれません。そういう生活の集積が、国民の健康のレベルを決定していくのもまた、事実です。

 私たちは、将来のために何か投資をしなければならないでしょうし、それはいいことだと思います。そして、食はもっとも確実な自分への、そして家族への投資であるということに、一日も早く、もっと多くの方々に気づいていただかなければならないと痛切に思います。

 小難しいことを言うつもりも、哲学的な発言をするつもりもありませんが、人間はやはり、幸福を味わうために生まれてきていると思います。幸福がどういうものか、人それぞれ違っていていいと思いますが、健康を損ねてなお幸福だという人はいないでしょう。ということは、幸福の第一条件は、有り余るほどのお金を持つことでもなければ、広い土地を所有していることでもなく、豪華客船で世界中を回ることでもありません。家族や友人たちに支えられて、健康であることに感謝できることではないでしょうか。そのために、今日、私たちが食べる食事がとても大切なのだと思います。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)

南清貴

南清貴

フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会
代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。

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