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2023.03.06 11:51
2018.06.02 16:00
篠崎靖男「世界を渡り歩いた指揮者の目」 第1回
指揮者ほど最高の職業はない!オーケストラ楽員との丁々発止の後の演奏は病みつき
そんなことが、リハーサル直前になって頭に重くのしかかってきて、前日から宿泊しているホテルのベッドから早く起きだし、机の電気スタンドをつけて、楽譜を開けるわけです。ただただ時間がすぎることもあるけれど、いくらあがいてみても、どうにもこうにも落ち着かないのです。これは、何年間指揮者をやっていても同じです。高校生のときの試験の朝のようです。指揮者なんて、毎回、公開試験を受け続けているようで、もうたまらないのです。
病みつきになる「指揮者」という仕事
話は変わりますが、僕の自宅のご近所に、若くして大手建築会社の現場監督を務めている人が住んでいます。彼は、与えられた設計図を読み込み、時には現地に足を運んで綿密に準備をします。しかし、仕事をする現場の職人さんは、年齢も上ではるかに経験豊富。実際の現場では、目の前にいるそんな熟練の職人たちとやり合わなくてはいけないわけで、現場監督として指示を出していくのは簡単なことではないようです。「怒られてばっかりですよ」と話すのを聞いて、「なんだか指揮者と似ているなあ」と思いました。
指揮者も同じようなもので、家で楽譜を勉強するだけの時間と違い、現場では実際に楽員に指示を出さなくてはなりません。しかし、いくらがんばったからといって、自分の思いに相手が必ず同調してくれるわけではありません。時には「指揮者はそう言っているけれど、僕はそう思わない」と思う楽員もおりますし、もっとひどくなると「あの指揮者は間違っている。ひどいね」と、休憩中に周りに話す人までいます。
しかし、“100人いれば、100の違う意見がある”ことは当然で、これをどうやってひとつにまとめていくのかが問われるのです。とにかく、ひとりでも多くの楽員に自分の考えを理解してもらう努力、戦略が必要で、「支持率100%」は無理でも、なんとか70%くらいまでこぎつければ大成功といえます。
さて、そんなこんなで、リハーサルに向かいます。自前のホールを持っている海外のオーケストラとは違い、日本のほとんどのオーケストラは、演奏会当日しかコンサートホールを使用できません。大概はリハーサル場を持っており、そこに事務局も構えていることが多いです。
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