「ブドウ糖」を構成するC(炭素)、H(水素)、O(酸素)を並べ替えると「脂肪」はすぐ合成されるが、空気中や土中のN(窒素)やS(硫黄)がくっつくとタンパク質(のもとのアミノ酸)がつくられる。このタンパク質から偶然に「生命」が誕生した、というのが一般の科学者の言い草である。
「偶然」だったら、その生命が終わったときには、すべてが終わっていたに違いない。しかし、30億年前に誕生したアメーバ様の単細胞生物から分化・分裂・増殖を繰り返して多細胞生物に発展し、魚類→両生類→は虫類→哺乳類と進化し、その頂点に「人」が立っている。
つまり、こうしたすべての生命には創造主(神)の意志(spirit)があったわけだ。英語の「spirit」を辞書で引くと「精神、心、気(持)、霊(魂)、幽霊、神、酒精」などの意味が出てくる。
仏教の般若心経に「空即是色、色即是空」とあるが、今述べたように「空」(何もない、見えないと思われる物)から「色」(糖分、脂肪、タンパク質、生命<植物、動物など形があるもの>)ができたことを表している。
「空」から「色」ができるときに働いたのが「宇宙のエネルギー=spirit=霊=神」である。
この宇宙のエネルギーをわかりやすくいえば「気」、つまり「電気」で代表されるエネルギーと考えられる。心電図、筋電図、脳波から察すると我々の体の臓器、器官、細胞は電気の力で働いていることがわかる。心臓が停止したときにはAED(自動体外式除細動器)により電気を心臓に流して蘇生を図る。
電話、テレビ、ラジオ、今流行のIT機器の働きは、すべてが電気現象のなせる業である。スマートフォンで撮った写真が即座に海外にいる友人に送られ、そこで再生されるのも電気現象である。AI(人工知能)ロボットが人間の言うことを理解し、必要な行動をするのも電気の力である。
こう見てくると、我々の体(色)に寿命がきた場合、肉体は土に還る(土葬されると土の成分ミネラルになる。火葬されると骨と灰というミネラルになる)が、精神(霊)は色(形、生命を生み出した原動力=宇宙のエネルギー=霊(界)=神)、つまり「空」へ還っていくと考えられる(色即是空)。
よって成仏できない霊(spirit、電気)がこの世に戻り、恨んでいる人に災いをもたらすことは大いにあり得るのである。
こうした内容を書いた『死んだらどうなる』(ビジネス社)を去る6月1日に出版したところ、売れ行きが絶好調である。誰しも死後の世界については知りたいところだからだろう。興味のある方は、ぜひご一読をください。
(文=石原結實/イシハラクリニック院長、医学博士)