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小薮浩二郎「食品の闇」

知ったらマーガリンやビスケット類を食べられなくなる?「合成油脂」の危険性

文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問
知ったらマーガリンやビスケット類を食べられなくなる?「合成油脂」の危険性の画像1「Gettyimages」より

 合成油脂について深刻な問題が明らかになりました。それはトランス脂肪酸の問題です。

 トランス脂肪酸は油脂の不飽和脂肪酸で生成します。飽和脂肪酸でトランス脂肪酸が生成されることはありません。天然の油脂の不飽和脂肪酸は、ほとんどシス型をしています。シス型からトランス型への変化は、不飽和結合(二重結合)部で起こります。シス型、トランス型というのは、分子内の一部において反り返る向きが違うだけのことです。てんぷら、フライなどのように加熱調理でも若干起こります。油脂に水素を結合させるとき、すなわち合成油脂を製造するときに非常によく起こります。つまり、合成油脂にはかなりのトランス脂肪酸が含まれるのです。

 合成油脂を使用した食品に含まれているトランス脂肪酸の量を示しておきましょう。以下は内閣府食品安全委員会が2006年に公表したデータ(最大値)です。少し古いデータですが参考にはなります。

マーガリン…13%
・ショートニング…31%(減少傾向にあります)
・菓子パイ…7.3%
・油揚げ、がんもどき…0.2%
   
 ビスケットにトランス脂肪酸が多いのは、合成油脂を含むショートニングを多量に添加しているからです。マーガリンなどを使用した食品には、トランス脂肪酸が多いということになります。ただ、最近は食品中のトランス脂肪酸を少なくした製品もあります。牛脂、バターにもトランス脂肪酸は約2%含まれています。1つの脂肪酸に含まれる二重結合の数により、さまざまなトランス脂肪酸が生成されます。

・二重結合が1つの脂肪酸(オレイン酸など)…1種類のトランス脂肪酸が生成
・二重結合が2つの脂肪酸(リノール酸)…3種類のトランス脂肪酸が生成
・二重結合が3つの脂肪酸(リノレン酸)…7種類のトランス脂肪酸が生成
  
 これらは、ほんの一例にすぎません。原料となる油脂の種類により、非常に多種類のトランス脂肪酸が生成されます。このようにトランス脂肪酸は非常に複雑なのです。合成油脂に含まれているトランス脂肪酸は、種類も量も多いのです。ですから合成油脂は「トランス脂肪酸の宝庫」「トランス脂肪酸」のデパートといっても過言ではありません。

 トランス脂肪酸は合成油脂以外にもバター、牛脂肪にもかなり含まれています。脂肪が多い牛肉や牛乳、バター、クリーム(牛脂肪です)の摂取は少なくしたほうが良いと思います。生クリームたっぷりのケーキ類も身体によくありません。

 では、次回はトランス脂肪酸の危険性についてお話ししましょう。
(文=小薮浩二郎/食品メーカー顧問)

小薮浩二郎/食品メーカー顧問

小薮浩二郎/食品メーカー顧問

1945年、岡山県生まれ。九州大大学院農芸化学専攻(栄養化学講座)修了。製薬会社の研究部門ほか、添加物開発の最前線で添加物研究に従事する。研究歴40年以上で、第一人者。現在は、食品会社の顧問、食品販売会社特別顧問(品質管理)に携わる。著書に「悲しき国産食品」「食品業界は今日も、やりたい放題」「食品選び・おとなの知恵 ちょっと高くても、コッチ!」など。

Twitter:@eQuqANeNct8MdU5

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