塩は摂りなさい!「減塩」信仰が体を蝕む?化学精製塩ではなく海塩を買うべき
筆者が主宰している一般社団法人 日本オーガニックレストラン協会(JORA)では、座学と調理実習の大きく2つに分けて講座を進めています。座学では、最新の栄養学の情報を中心に、「私たちが何を食べればよいのか」ということを学びます。そして調理で、その食べるべきものを最適に料理するための方法を学ぶという構成です。きちんとした知識がないままに料理をしようとすると、ときに間違った方向にいってしまうことがあり、むやみやたらと砂糖を使ったり、不必要な化学調味料を加えて、おいしい料理ができたと勘違いするような結果となるのです。
無料で受けられるJORAのメールレッスンの登録はこちらから。
その間違った方向性のひとつが、無意味な減塩です。塩分を摂り過ぎるのは、確かによくありませんが、摂らな過ぎることもよくありません。私たちは、食事から常に“適度な”塩分を摂取しなければなりません。それが昨今は、誰でも彼でも「減塩、減塩」と叫び、まるで塩が敵のようになっています。これは明らかに間違いなのですが、既成概念というものは、なかなかに強固で、それに反対の意見を主張すると、まるで謀叛者のように扱われてしまいます。
しかし、あえて筆者は申し上げます。塩は摂ってください。ただし、適正に。
私たちの体における塩の必要量は、体調によっても季節によっても変化します。たとえば、秋はほかの季節より塩を多く摂るべき時期です。それは、秋がまだ日中はそれなりに気温が高いのに、夜になり、明け方になると気温が下がることに起因します。その寒さに対抗するために、私たちの体は腰椎3番という骨を中心にして「捻じれ」ます。これが嵩じると、腎臓に負担がかかります。そのままにしておくと、腎臓の働きは鈍り、尿酸をつくりだすペースが落ちます。
そうなると体の中が酸性化してしまうので、これを防ごうとして体は余った酸を胃酸につくり替えます。すると、いわば偽の食欲が出てくるのです。これが食欲の秋の大本なのですが、実際に秋はおいしい食材がたくさん出てくる時季なので、本物の秋の食欲と混同してしまい、ついつい食べ過ぎになってしまいます。
そうならないように、体の中を調節してくれるのが「水」です。だからといって、いきなり水をがぶ飲みしても、水は体に吸収されず、尿となって体外に出ていってしまいます。そういう時の尿は無色透明で、まさに水のようです。
では、どうすればいいのかといいますと、先に「塩」を摂って、血液中の浸透圧を上げておくのです。すると、体が水を吸収しやすくなります。そのためのもっとも手軽で合理的な方法が食事で、特に「汁物」を摂ることです。この季節は、鍋をはじめとして、味噌汁や、あったかい蕎麦やうどんが特別おいしく感じるのには、ちゃんと訳があったのです。
しかし、秋にいくら汁物がいいとはいっても、添加物たっぷりのラーメンの汁や、インスタントの「鍋の素」みたいなものはダメです。化学物質があふれんばかりに入っているため、益より害のほうが大きいからです。