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片田珠美「精神科女医のたわごと」

妊娠の華原朋美さん、周囲のサポートと精神的安定が不可欠な理由…精神科医が解説

文=片田珠美/精神科医

精神的な安定が大切

 もう1つの危惧として、(2)産後うつがある。産後うつは、妊娠・出産によるホルモンバランスの急激な変化、そして育児不安によって起こる抑うつ状態で、少なくとも10人に1人の割合で発症する。だから、決して珍しくない。ホルモンバランスの急激な変化は、妊娠・出産した女性すべてに生じるからだ。

 育児不安という点に関しては、第1子出産直後にとくに多い。華原さんも第1子出産を控えているし、かつて精神的に不安定な時期があったということなので、気をつけたほうがいいだろう。とりわけ出産直後は、眠れなくて睡眠薬に頼りたくなることもあるかもしれないが、授乳によって赤ちゃんに伝わるので、服用は望ましくない。

 もちろん、産後うつは通常いつまでも続くわけではない。妊娠前は不安定で睡眠薬を常用していたが、妊娠が判明してから中止し、無事出産して、産後うつも乗り越えた女性を何人も知っている。

 そのためには、周囲のサポートが不可欠だ。妊娠中に薬に頼らずにすむようにするためにも、産後うつを乗り越えるためにも、お腹の子どもの父親をはじめとする家族や医療関係者が支えて、華原さんが精神的に安定した日々を送れるようにすべきである。
(文=片田珠美/精神科医)

片田珠美/精神科医

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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