崎陽軒は10月21日、「肉まん」「あんまん」 のパッケージをリニューアル。個包装フィルムのまま電子レンジで1つ当たり500Wで約1分10秒、600Wで約1分温めるだけで、より手軽に食べられるようになった。また、電子レンジで加熱しても固くならず、“ふわっ”“もちっ”とした食感になるよう生地の配合も見直され、利便性だけでなく味の向上も実現した。
ただ、どうしてもシュウマイのイメージが強い崎陽軒。肉まんはどのような味になっているのか。大手コンビニエンスストアチェーン3社の肉まんと比較して、崎陽軒の肉まんのクオリティをレポートしたい。
ファミマ:薄味で物足りない
まずはファミリーマートの「炭火焼 塩豚カルビまん」(税込220円)。豚カルビにはしっかりと炭火で炙った香りがつき、口溶け感のあるトロトロとした脂身もあり、リッチな仕上がり。生地もモチモチしているため、いろいろな食感を楽しめる。
塩豚と商品名にある通り、豚カルビは塩ダレで味付けをされているが、サッパリしすぎているため味があまりしない。生地と一緒に食べると、いよいよ味はあまり感じられず、食感を味わうだけになってしまう。
また、今回紹介する肉まんのなかで一番小さく、重さも98gとボリューム不足。肝心の豚カルビ部分も中に空洞ができており、パンパンに詰まっているわけではない。食べやすいといえば食べやすいが、満腹感を得ることは難しい。
ローソン:ボリューム満点だが味が喧嘩
ローソンが横浜中華街「江戸清」と共同開発した「横浜中華街『江戸清』共同開発 特撰肉まん」(税込297円)。今回紹介する肉まんのなかで一番高いが、その分重さは208g とボリューム満点。直径10センチ、高さも5センチあり、口が小さい人はなかなか食べにくい。ただ、「大きな肉まんにかぶりつく」という子供の頃に夢見た食べ方を実現できる童心に返れる肉まんだ。
見た目だけでなく「あん」もギッシリ詰まっている。豚肉もジューシーで、「たけのこ」や野菜の甘みもあり味が立っている。しかし、肝心の味がイマイチわからない。おそらく、ホームページの商品紹介に「肉のうまみ、キャベツの甘み、魚介のうまみを閉じ込め」と書かれている通り、いろいろな味を詰め込み過ぎたことが原因なのかもしれない。
肉や「たけのこ」など、それぞれの具材を意識すれば旨味を感じられる。しかし、ただただ漠然と食べていると、舌に残るのはしょっぱさだけ。「シンプルな肉まん」を求める人には合わなそうだ。
セブン-イレブン:ジャンキーな肉まん
次はセブン-イレブンの「もちもち×ずっしり 大入り豚まん」(税込240円)。重さは162gであり、ローソンの特撰肉まんと比較すると“ずっしり”とはいいがたい。また、生地はパサパサ感が強いため、“もちもち”とはあまり感じなかった。
ただ、「あん」の豚肉も脂っぽく、胡椒が効いているからなのか辛みもしっかりある。甘い生地と「あん」のしょっぱさや脂っぽさがマッチして、とてもジャンキーな味わい。ただ、豚肉自体も旨味があるため、決して安っぽいわけではない。
コンビニ3社のなかでは一番“肉まんっぽい肉まん”となっているため、疲れた時に食べたくなる。
崎陽軒:さすがのハイクオリティ
最後にメインの崎陽軒「肉まん」(税込220円)。わざわざお皿に移しかえてラップをする必要はなく、袋に入れたままレンジで温められるのはありがたい。とはいえ、レンジで加熱した後は肉まんは熱を持ってしまう。袋で包みながら食べることの難易度は高く、結局はお皿に移す必要がある。
実際に食べてみると、「あん」のクオリティの高さに驚く。肉や「たけのこ」はもちろん、「しいたけ」もしっかり味が染みている。“肉まんっぽい肉まん”になっているが、セブンの豚まんのようなジャンク感とは違う。具材の味のバランスがしっかりとれ、レンジで温めたとは思えないほど生地はもちもちしており、本格的かつ高級感ある出来栄え。重さは121gとボリューム面はやや劣るが、コスパは全然悪くない。
しかし、コンビニの肉まんとは異なり、簡単に買えないのが難点。神奈川県と東京都を中心とした約160店舗でしか買えない。「家の近くに崎陽軒がある」という人はあまり多くないだろうから、気軽に買いに行くことはできない。一応、崎陽軒のオンラインショップでも購入できるが、5400円以上も購入しないと送料無料にはならない。一番安い関東圏であっても送料890円(税込)がかかるため、どうしてもハードルが高くなる。
とはいえ、本格的な肉まんをどうしても食べたくなった時には購入を勧めたい。
(文=望月悠木/フリーライター)