大掃除、ラクに大きな効果を発揮する術と洗剤選びのコツ~風呂場には酢、窓にはワイパー…
生化学分野に精通し、サイエンス・コミュニケーターとしても活動するほか、教育機関で教鞭も執っているへるどくたークラレ氏が、薬局で買える医薬品や健康・栄養食品を分析。配合成分に照らし合わせて、大げさに喧伝されている薬や、本当に使えるものをピックアップします。
今回は、年末の大掃除に役立つ品々を紹介しようと思います。
風呂場のこすっても落ちない白いこびりつきに窓枠のカビ、プラスチックからガラスに至るまでさまざまな汚れ落としに使える情報ですので、年末の大掃除だけでなく、普段の掃除にもご活用ください。
●水回りの汚れ、酸とアルカリの使い分け
まずは白いこびりつき。
水回り、例えば風呂場の鏡・タイルに白い曇り、シンクの中に鱗状の模様、蛇口の周りなどで結晶が塊になり、強くこすっても落ちる気配すらないなど、思い当たることはありませんか?
あの白いこびりつきは、水道水の中に含まれている成分が蒸発固化し積層したカルシウム塩です。これは水に対しては不溶性なので、いくら流しても落ちません。界面活性剤すら歯が立ちません。どんなに洗剤をつけても、強くこすっても落ちないので、あきらめている人もいるかもしれませんが、しっかり落とすことが可能です。
役に立つのは、酸。
カルシウム塩は、強めの酸を上からかけることで水溶性のカルシウムにすることができ、簡単に落とすことができるのです。
まずは、シンク全体に薄く鱗状にモヤモヤと積層しているもの。これはクエン酸ないしは酢酸で落とすことができます。特別な洗剤など不要で、コップ1杯の水に薬局・薬店で売っているクエン酸を大さじ1杯ほど溶かして、霧吹きなどで汚れに均一にスプレーします。もしくは食酢をスプレーしてもOKです。約10〜30分ほど放置したら、水を流しながらメラミンスポンジなどでこすります。1回で取れなくても、2~3回繰り返せば新品同様にピカピカの水回りになります。
風呂場などでは、しっかりと換気をして、手袋をはめ、酸性トイレ用洗剤(「サンポール」等)をキッチンペーパーに染み込ませたものを上から貼り付けて5分ほどおいて、メラミンスポンジを使ってこすり落とします。5分以上放置すると素材が傷んでしまうこともあるので注意が必要です。
風呂場のもうひとつの汚れ、それは湯あかでしょう。爪でひっかくと落ちる程度のこびりつきです。この正体はセッケンやボディーシャンプー、皮脂に含まれる脂肪酸が、カルシウムやマグネシウムと結びついてできたもので、水に対しては不溶性です。幸いアルカリによく溶けるため、風呂用洗剤はアルカリ性となっています。
放置しておくと、脂肪酸を栄養とするカビの発生源となり、プラスチック製品を浸食し始めるので、こまめに掃除をする必要があります。
掃除の際に、浴槽内はスポンジと洗剤で十分ですが、洗面器や手桶、座椅子といったものの汚れまで全部磨くのは、手間がかかり大変です。そこで、近年売られている泡洗浄スプレーの類(「スクラビングバブル 激泡バスクリーナー」等)ないしは、カビ用の泡スプレー(「カビキラー」等)などの泡で覆って数分後に強い水流で一気に流してしまえば、ほとんどの汚れを落とすことができるので、とても楽です。しかし、水流だけではすべての汚れは落ちきらないので、スポンジで軽くこすればピカピカにすることができます。
注意すべきは、あまり長く泡まみれにしておくと素材を傷めてしまうことがあるので、最長でも10分程度にとどめて、ひどい汚れは1回で全部落とすのではなく、何回かに分けるつもりで綺麗にします。