全身に症状、命に関わる危険も…虫刺され、正しい/誤った対処法と、使うべき薬とは?
生化学分野に精通し、サイエンス・コミュニケーターとしても活動するほか、教育機関で教鞭も執っているへるどくたークラレ氏が、薬局で買える医薬品や健康・栄養食品を分析!配合成分に照らし合わせて、大げさに喧伝されている薬や、本当に使えるものをピックアップする。
当サイト前回記事『虫よけ、どれを選ぶべき?誤ると炎症も 海外旅行ではアースノーマットとバポナを』では、虫よけについて説明しましたが、今回は虫に刺されてしまった場合に欠かすことのできない「虫刺され薬」について説明しましょう。
一口に虫刺されといっても、人に害を与える虫は蚊やアブ、ブヨ、ナンキンムシなど、数多くいる。症状を見極め、それに対応した薬選びができるようになっておけば、キャンプやBBQ、登山などで役立つでしょう。
虫刺され薬の種類と、気をつけるべき虫について見ていきましょう。
●虫刺され用薬の選び方
医療用では虫刺され専用の薬はなく、外用湿疹や皮膚炎用薬を症状などに合わせて医師が処方しています。これらの薬は、まだ医師の処方箋なしには薬店で売買できませんので、市販されている薬は、あくまで応急処置程度にしかならないということを念頭に置いておきましょう。
例えば、ほぼ同じ成分構成のステロイド系の軟膏でも、市販薬は有効成分の濃度が処方薬の半分以下に定められているといいます。つまり、市販薬と処方薬では効き目に大きな差があるのです。とはいえ、虫に刺された時に応急処置として役に立つ製品もあるので、常備しておいて損はありません。
さて、薬局には虫刺され対応を標榜する製品があふれ返っています。安い製品は数百円、高い商品は2000円近くしますが、効果にどのような違いがあるのかはっきりしません。しかも成分を見ても、市販されている虫刺され薬に配合される成分は膨大な種類があるので、よくわかりません。
では、どのように薬を選べばよいのでしょうか? その答えは、薬の効果の強さによって変わる「第○類」という表記。現在、すべての市販薬に表示されているので、それが一つの判断材料になります。
虫刺され薬は、「第2類医薬品」と「第3類医薬品」があるようですが、さらに第2類の「2」という文字が四角または丸で囲まれているものは、指定第2類医薬品と呼ばれるもので、「2類扱いではあるけれど、可能な限り注意して使用しましょう」というカテゴリーの薬です。
それゆえ、少々乱暴な分け方ですが「第3類医薬品」の大半は、皮膚が敏感な子どもでも使うことができる半面、効果も低いといえます。「第2類医薬品」は、一般的なかゆみ止め、炎症止めとして使える製品で、さらに「指定第2類医薬品」は、比較的効果は高いが副作用のリスクもあることを理解して、使い方に注意するべきと覚えておけばよいでしょう。