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楽天の携帯電話参入は、勝算がまったく見当たらない…既存3社並み通信はほぼ不可能

文=A4studio
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楽天が“安かろう悪かろう”に陥るリスクは高い?

 なお、先述した電波監理審議会では各キャリアに対し、周波数の割り当てに関する6つの条件が与えられたのだが、楽天にだけは4つの追加条件があった。

 そのうち1つは「他の既存事業者のネットワークを利用する場合においても、携帯電話事業者は自らネットワークを構築して事業展開を図るという原則に留意すること」であり、石川氏は次のように解説する。

「これは電波監理審議会が、『ひとまず電波の取得は認めるけれども、NTTドコモに甘えることなく、ちゃんと自分でネットワークをつくりなさい』と、楽天に釘を刺しているかたちですね。

 楽天が今回取得した1.7GHzという周波数帯は、世界的に見ると標準的ではあるものの、大手3社が持っている700~900MHzの“プラチナバンド”と比較すれば、電波の浸透率で劣ります。一方、大手3社は東日本大震災を経験しており、有事の際に備えたノウハウを充分に蓄積していますが、楽天の場合にはそれが一切ありません。いざというとき本当に回線がつながるのか、楽天はユーザーの不安を払拭する必要があります。

 繰り返しになりますが、一般常識からしても、今から新しい基地局をつくっていくというのは相当難しいことなのです。しかも楽天は、大手3社よりも安い料金プランを提供しようとしているわけですから、それでサービスをうまく回せるのかどうか。日本人は携帯電話がどこでもサクサクつながる状況に慣れてしまっているので、いくら安くても回線が不安定ならば、ユーザーは他社から乗り換えてきてくれないでしょう」

 そんな楽天が携帯電話事業を軌道に乗せるためには、何が求められるのだろうか。

「楽天は、ある程度ネットワークを広げたうえで、じっくりとユーザーを増やしていくべきです。なぜなら、サービス開始直後は楽天の使えるエリアが限定されそうですし、最初からユーザーを一気に獲得しても、『ネットワークが狭いから』と、すぐに逃げられてしまいかねません。

 もっとも個人的な意見としては、6000億円の資金調達が可能なら、今の楽天モバイルをもっと強化すればいいのではないか、というのが正直なところではあります。低価格の携帯電話事業で攻めても、あまりお金を払いたくないユーザーばかり集まるため、のちのち低利益体質でビジネス的に苦しくなってくることは想像にかたくありません。率直に言って、どこに楽天の勝算があるのかわからないというのが、業界内の共通した認識ではないでしょうか」(同)

 今回の新規参入が見切り発車ではないことを楽天はどのように証明するつもりなのか、楽天社長・三木谷浩史氏には誰も予想しえない一発逆転の秘策があるのだろうか、その動向に注目していきたい。
(文=A4studio)

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