――このような動きは、これまでもあったのでしょうか?
塩野 楽天が、電子マネー「Edy」を発行するビットワレットを買収しました。すると、「Edy」を利用できる各店舗には、楽天のマークがつくようになりましたね。このような動きは今後も広がっていくでしょうね。ユーザ側でも、どのブランドに対してシンパシーを持って、メインIDとしてパーソナルデータを提供するかという選択が、加速するように思います。この先グーグルが「グーグルクレジットカード」を発行して、リアル店舗での買い物ができるようになったら、面白いことになるかもしれないですね。でも、日本において一番個人データを持っているのは、やはりビザやマスターといったクレジットカード会社です。重要なのは個人の支払い能力です。この情報も保有したメインIDは、本当の意味で脅威です。最終ビジネスでの重要な一角を占める、「個人の支払い能力」に関する情報にアクセスできるメインIDとなるわけですから。そのアクセス許諾権を誰が握るのかが、今後の勝負になってくるはずです。
<目次>
【1】広告費ゼロで会員5万人?ソーシャルランチ人気の秘密
【2】もしグーグルが日本で起業していたら成功したか?
【3】アップル元社員語る「過酷な社内政治とクレイジーな要求」●塩野誠(しおの・まこと):経営共創基盤(IGPI)パートナー/マネージングディレクター
ゴールドマン・サックス証券を経て、評価サイト会社を起業、戦略系コンサルティング会社のベイン&カンパニーを経た後、ライブドアにてベンチャーキャピタル業務・M&Aを担当し、ライブドア証券取締役副社長に就任。現在はIGPIにて大企業からスタートアップまで、テクノロジーセクターの事業開発、M&Aアドバイザリーに従事。著書に『プロ脳のつくり方』(ダイヤモンド社)がある。慶応義塾大学法学部卒、ワシントン大学ロースクール法学修士。