CCCによる中央図書館の運営の問題点を4年前の新装開館当初から指摘している海老名市議会の山口良樹議員は、こう指摘する。
「海老名市が指定管理者を公募した際の募集要項には、『統括責任者(館長)は、類似施設で責任的立場に従事した経験のある者』とされていますが、新任の高橋哲館長は、館長になるまで昨年9月からわずか半年しか経験していません。しかも肩書はサブマネージャー。それを『責任的立場に従事』というのは社会通念上、無理があると思います」
CCCが海老名市に応募書類を提出したのは、昨年8~9月中旬である。この頃、高橋哲氏は中央図書館に赴任していないか、赴任していたとしてもまだ研修中の身だった。つまり、応募時点では新館長は「責任的立場に従事」の要件を満たしていない。
書類上の「統括責任者」は、CCCの図書館部門のトップで前館長だった高橋聡氏が担うこととされていたので問題ないという見方もできるが、その前館長も昨年の6月議会で館長としての適性を問題視されていた。
昨年6月議会の一般質問で山口議員は、17年度の第三者評価において「館長は常勤でない」と明記されていたことを取り上げて「中央図書館長がCCC図書館カンパニー社長と兼業していることは、図書館長の事務掌握を定めた図書館法13条違反にあたるのではないか」と追及した。
とりわけ、他県へ新規開拓に飛び回っている実態を厳しく批判し、館長は専任であるべきと述べていた。それだけに、応募書類で前館長を統括責任者としていたとしても、また別の問題が出てくる。いずれにしろ、応募資格を満たしていない可能性が拭えない。
一刻も早く新任館長への交代が求められる状況にあったなかで、形式上だけ前館長をもってきて、指定管理者に選定された後に、応募時点で応募資格を満たしていなかった人物を据え付けるという行為は、姑息すぎるのではないか。
そうしたなか、もうひとつ決定的な問題が出てきた。それは、新館長が図書館の責任者として勤務するにあたって必須とされている司書資格を保持していないことだ。筆者が新館長に直接「司書資格をお持ちですか?」と質問したところ、「いま取得中」との回答があり、後日、海老名市の担当部署に問い合わせた際にも、その事実を確認した。
海老名市の募集要項では、館長が司書資格者であることは求めていないものの、いまや「図書館長の司書資格」は「受託事業者の“標準装備”」になりつつある。
ある図書館関係者は、驚きを隠さない。
「直営館の場合は、役所のほかの部署から管理職が館長職に異動してくるため、館長が司書資格を持っていないことも結構ありますが、指定管理や委託の事業者の責任者が司書資格を持っていないということは、通常ありえません。なぜならば、事業者は『我々は図書館運営のプロです』と言って受託するわけですから、館長はじめ幹部スタッフは司書資格を持っていることで、それを客観的に証明するのです。おそらく、指定管理者で館長が司書資格をもっていないというケースは、CCC以外には皆無でしょう」