——そもそも神田社長は11月15日にTOBを発表されましたが、なぜこの時期にTOBを行うのか、その理由は何でしょうか?
神田社長 まず、今回のTOBは、両社の経営統合を目指したTOBであることを申し上げておきます。私は、当社に来る前にはアコーディアにいましたが、当時からずっと両社は統合すべきであると思っていました。実際に、今年の1月に個人的ではありますが、アコーディアの経営陣に経営統合を提案いたしました。しかしながら、そのときはアコーディア前社長の資金流用などのコンプライアンス疑惑が発覚したので、提案を凍結する決断をしました。
その後、前社長が退任され、アコーディアのコンプライアンス体制の一定の改善が見られたことと、太平洋クラブの問題も、10月3日に東京地裁が同社の再生手続き廃止を決定し、支援中止になったことで、「機は熟したかな」と判断して、11月15日のTOB発表に至ったものです。
——両社が経営統合した場合のメリットとは、具体的に何があるのでしょうか?
神田社長 通常の経営統合の場合、お互いに確立された企業文化があり、統合メリットを生み出すまでに時間がかかるケースもあります。ただ、もともと、当社はローンスター、アコーディアはゴールドマン・サックスが作った会社で、生い立ちもビジネスモデルも全く同じですので、かなり似通った企業文化を持っていることから、統合メリットを早期に出すことができると信じています。
また、現在のトップ2社が統合することによって、業界活性化に向けたリーダーシップをさらに発揮することができるという点も統合のメリットと言うことができます。ゴルフ業界はこれまで業界として一致団結することがなく、リーダーシップを発揮する企業がおりませんでした。当社単独でも業界がさらに盛り上がるようにさまざまな取り組みを行っていますが、アコーディアと一緒になることで、さらにリーダーシップを発揮することができるはずです。業界が盛り上がらないと、当社のさらなる成長もありませんので。
●あくまで“業界活性化のためのTOB”
——外から見ていると、今回のTOBは、何か焦っている気がしますが。
神田社長 ゴルファーはバブル期には1億人以上いたと言われていますが、その後、現在では8400万人と大幅に減少しているのが現状です。では、ゴルフ場の数はどうかというと、バブル期に遂に2000コースに達し、さらに98年には2400台に突入したまま、その数はいま現在ほとんど変わっていません。つまり、供給過多な状態が少なくとも20年以上も続いているんです。(*数字は、日本ゴルフ場事業協会より。人数は、ゴルフ場を利用した延べ人数)
実際、目先のキャッシュフローを目指して過度なダンピングをしているゴルフ場もあります。安いグリーンフィーで回れることは、利用者の方々にとって決して悪いことではありません。これは、サービスなどが維持されていることが大前提です。しかし、過度のダンピングは、品質の低下をもたらします。そうなると、結果的に、ゴルフを心から愛してくださっている方も離れてしまいます。バブル以降、ゴルフ場業界は、自分で自分の首をずっと絞め続けてきたというのが実態です。このような状態の中で、当社も早く手を打たねばならないと、常々、考えていました。早急に、それぞれのゴルフ場の位置づけを明確にしていかなければなりません。