現在の経営の選択肢としては、稼いだお金を銀行への返済に回すか、あらたにゴルフ場を取得するか、株主に還元するのか、の3つしかありません。これまでは、余剰資金によって新規ゴルフ場取得を行っていくことが、アコーディアとPGMのやり方でした。ただ、このタイミングで経営統合をして、既存コースを磨くことに専念し、業界の底上げに注力することが、両社の株主の皆様、そしてゴルフ場業界全体にとっても良いと確信しています。今回のTOBを通じて、この点もアコーディアの株主の皆様に問うていきたいと考えています。
——「それぞれのゴルフ場の位置づけを明確にする」とは、具体的にはどういうことなのでしょうか?
神田社長 お客様のニーズに合わせた特徴のあるゴルフ場の運営、たとえば、ハイエンドからローエンドまで、トーナメントコースからリゾートコースまで、あるいはシルバーエイジ中心のコースから若年層に魅力的なコースまで、というように、ゴルフ場という「商品」ラインナップをそろえ、多様化するゴルファーの皆様の満足度をさらに高めて、何度も足を運んでいただく場を提供したいと考えています。
もっと気軽なレジャー・スポーツだという認識を持ってもらいたい。たとえば、先ほど申し上げたゴルフ場のラインナップの中に、初心者向けに特化したゴルフ場というのも、今後は十分ありえます。
外食産業を見ると、ウェブ上の比較サイトにおけるランキングが非常に重要視されていますよね。CtoC(Consumer to Consumer)の時代に対応するための顧客データベースを整備し、その上でCRM(Customer Relationship Management)を行い、そのときのお客様のニーズに合わせて、柔軟な価格設定やコース設計を行っていきたいです。ゴルフ場のラインナップを増やすことによって多様な顧客ニーズも取り込むことができますので、ゴルフ場のラインナップをそろえることとデータベースの活用は表裏一体の施策です。仮にさまざまな切り口で比較されるようになっても、最上位にランクインされるように、すでに取り組みを進めています。
——今回のTOBが成立し、経営統合をした後の貴社の将来展望をどのようにお考えですか?
神田社長 今回のTOBを抜きにしてお話しをすると、当社の戦略は一貫しています。ゴルフ場のオペレーションの効率化によるコスト削減と顧客ロイヤリティの向上による売上成長です。前者は主に顧客サービス以外の業務の効率化を図るもので、後者は「顧客目線で考える」ことによる顧客満足度の向上を行っていくというものです。