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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

中国経済崩壊で訪れる未曾有の事態 疑惑まみれの経済統計、世界中が「見放し」か

文=渡邉哲也/経済評論家
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中国経済崩壊で訪れる未曾有の事態 疑惑まみれの経済統計、世界中が「見放し」かの画像1「Thinkstock」より

 バブルというのは、その名の通りいつか必ずはじけるものだ。そして、いわゆるバブル景気の場合、そのはじけ方が問題になる。ハードランディングになるか、ソフトランディングになるかで、その後の経済状況が変わってくるからだ。

 最近、世界的な話題になっている中国経済バブル崩壊に関しては、「どうやら、ハードランディングになりそうだ」ということで、問題視されている。

 そもそも、中国とはどのような国家だろうか。この国は、「共産党独裁自由主義経済」ともいうべき、非常にゆがんだ経済構造を持っている。中国共産党のための自由主義経済であり、資本主義と計画経済の“いいとこ取り”をしてきたのが実態だ。

 資本主義と計画経済というのは、正反対の経済思想であり、本来は並立することはあり得ない。しかし、中国において、このような経済システムが許されてきたのは、なぜだろうか。それは、世界各国が中国を利用して儲けることができたからである。

 しかしながら、いよいよそれも許されなくなってきた。そういった背景が、中国のバブル崩壊の根底にあるといえる。

「金の切れ目が縁の切れ目」ということわざがあるが、中国の場合はまさに「金の切れ目が国際社会との縁の切れ目」になりつつあるわけだ。また、中国経済を語る際、その構造から、よく「張子の虎」にたとえられるが、巨大な張子の虎もついに壊れようとしている。

 世界には、実体経済の60倍近い架空資金(フェイクマネー)が生まれている。これは、金融の世界における信用創造の過程でつくられる。例えば、土地を担保にお金を借りて、そのお金を株式に投資して、それが証券化されて……といったかたちで、リアルマネーが何倍にも膨れ上がっているのだ。

 そして、その膨れ上がった部分が「バブル」と呼ばれるものであり、それが一気にはじけるのが「バブル崩壊」である。中国の場合、このバブルの膨れ方が異常だったという指摘もできる。

中国の成長率7%はウソ?

 中国の国内総生産(GDP)の成長率について、見てみよう。

 中国は長らく「保八」という政策目標を達成してきた。これは「成長率8%以上を維持する」というものであり、中国の経済成長を象徴するものである。逆にいえば、毎年8%以上の成長率を維持しないと、失業者の大量発生などにより、社会の安定が保てないという事情もあった。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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