今回の災害対応では、自治体間の連携に関しても動きが鈍いように見える。
「人員も豊富で、東京電力の大株主でもある東京都は何をやっているのかという疑問を持ちます。毎日、東京に多くの人が千葉から通勤している。隣県でこれほどの惨状が伝えられているのに、東京都が動く気配がありません。災害時の自治体間連携はどうなっているのか不安です。政府、自治体ともにしっかり検証する必要があると思います」(同)
千葉・森田知事はなぜ決断しなかったのか
「そもそも森田健作千葉県知事の健康不安は昨年4月からささやかれていました。以前は、多くの人が思う通りの元気キャラだったのですが、どうも最近は精細を欠くというか、老いを感じるというか、そういうイメージがぬぐえません。今回の台風でも、大ナタを振るう姿は見られませんでした」
そう語るのは、千葉県の関係者だ。森田知事は昨年4月、右目の「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」の手術を受けた。眼瞼痙攣は10年前からの持病で、近年は朝起きると目が開かないなど症状が悪化。長文が読めないなどの状況だった。術後の経過は良好だったようだが、半年から1年は経過観察が必要とされていたという。
停電による通信機器のマヒで、被災市町村が情報過疎の状況に置かれ実態が把握できなかったとはいえ、もっと県がリーダーシップを発揮できなかったのか。激甚災害指定の申請を政府に行うのも、停電復旧を阻んでいる各地の市道・県道の倒木除去や、断水地域の給水支援のために自衛隊に救援活動を要請するのも、すべて県知事の判断にかかっている。災害時にリーダーの迅速な意思決定が必要なことはいうまでもない。果たして、森田知事は果敢な行動がとれていたのだろうか。
東電の復旧予測が変転したのはなぜか
東京電力パワーグリッドは17日現在、ほかの電力会社からの応援約2400人を含め、総勢1万1000人態勢で復旧作業を急いでいる。同社の技術系幹部は次のように話す。
「テレビや新聞でクローズアップされた倒壊した2基の送電鉄塔ですが、ケーブルを迂回させる形で遅くとも10日の晩には通電可能になっていました。現場は山腹で、台風の影響で作業道も荒れていて、現場にたどりつくのも命がけだったようです。