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その上、受診時間は3~10分未満が51.2%、3分未満16.5%と、7割近くが10分未満の診療時間となっている。「長時間待ちの数分間診療」はいまだに健在なのだ。こうした状況に、外来患者のうち診療に「満足している」と回答しているのは、57.9%と6割に満たない。4割以上の外来患者が「不満」としているのだ。
確かに、緊急患者などへの対応に影響が出たり、軽い症状の患者が大病院に行くことで外来患者数が無用に増加し、混雑を引き起こし、満足な診察を受けられないことには問題がある。だからといって、特別料金として初診料に1万円を上乗せして、大病院から患者を遠ざける方法が得策なのだろうか。
厚労省の社会保障審議会では、大病院の初診料特別料金のほかにも、入院患者の病院に支払う食費の自己負担額(1食当たり原則260円)も大幅に引き上げる方向で検討している。これは、全額自費の在宅患者との公平性を図ることを狙ったものだが、米国では同様の措置を行ったために、食費を払えない入院患者が急増した例もある。
そもそも安倍晋三政権は、昨年4月の消費税率引き上げの際に、「増税分は社会保障へ使う」と説明し、目的税化したはずだ。それを反故にするように、国民に医療費負担の増加を押し付ける政策を検討すること自体が公約違反ではないのだろうか。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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