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都市立候補も死守
五輪を国別立候補にすれば今回のような問題は起きないが、IOCは都市別での立候補を崩したくない。他の競技も移せば「都市開催」が崩れる。だからこそIOCは、マラソンと競歩以外の競技の移転はしないと明言した。国内で各都市に誘致合戦を行わせることによって、各国のオリンピック委員会は潤う。あからさまな「賄賂」はなくても、接待を受ける。そして頂点に君臨するIOCの実入りも計り知れないが、国別立候補なら、うまみは減殺される。
ボルダリング、ボーリング、スケートボードなど、スポンサーのつく競技を次々と増やして五輪が肥大化し、開催できる都市が限られるようになり、2024年のパリ五輪、28年のロス五輪がすんなり決まるなかで、今回のマラソン移転騒動ではからずもIOCの「選手ファーストを隠れ蓑にしたマネーファースト」が露呈した。
商業五輪が行きつくところまで来た今、思い出すことがある。A・ブランデージIOC会長のアマチュアリズムが厳しかったその昔、1972年の札幌五輪では男子アルペンスキーの三冠王候補だったオーストリアのカール・シュランツ選手が、スキー板にメーカー名が書かれていたため規定違反で失格し、出場できず泣く泣く帰国した。彼が昨今の「金まみれオリンピック」をどう思っているのか、一度聞いてみたい。
(写真・文=粟野仁雄/ジャーナリスト)
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