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小笠原泰「生き残るためには急速に変わらざるを得ない企業」

東芝、生き残ることは恐らく難しい…OB&老人経営、改革の意思も勇気もゼロ

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授

川は二度に分けては渡れない

 兆速な技術進歩と融合した急速なグローバル化による変化が激しいため不確実性が高く、過去の経験が役に立たない、つまり、予見性の低い世界においては、過去の経験が豊富であることが価値とはなりにくいのが現状である。そのような事業環境に晒されている東芝には、小手先ではなく、マネジメントの抜本的な若返りが不可欠であろう。それなくして、生き抜くことは難しい。

 新体制では、少なくとも50代前半にマネジメントを任せるべきであったであろう。50歳すぎの取締役未経験者を社長に据えた三井物産並みの英断が必要であったのではないか。
 
 東芝に限ったことではないが、本当に変わる企業と変われない企業の分かれ目とは、事業環境の変化を理解し、その適応のために、「川は二度に分けては渡れない。渡るのであれば一度にわたる。留まるのであれば留まる」ということを経営者が理解するかどうかである。

 ここまでの経緯を見るに、東芝は事業整理こそ粛々と進めているが、組織体質の抜本的改革には手が届いていない。まさに、二度に分けて川を渡るという表明が、室町体制であろう。これでは、東芝再建の道のりは見えてこない。東芝は、企業再生の千載一遇の機を逸したかもしれない。今後の東芝の動向に注目したい。
(文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授)

小笠原泰/明治大学国際日本学部教授

小笠原泰/明治大学国際日本学部教授

1957年生まれ。東京大学卒、シカゴ大学国際政治経済学・経営学修士。McKinsey&Co.、Volkswagen本社、Cargill本社、同オランダ、イギリス法人勤務を経てNTTデータ研究所へ。同社パートナーを経て2009年より現職。主著に『CNC ネットワーク革命』『日本的改革の探求』『なんとなく日本人』、共著に『日本型イノベーションのすすめ』『2050 老人大国の現実』など。
明治大学 小笠原 泰 OGASAWARA Yasushi

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