女癖の悪さを指摘されていた宮崎議員
先に名前を挙げた宮崎氏、門氏、武藤氏、上西氏らは党の公募で候補者に選ばれた。それまで異なる世界で活躍している人材を政治の世界に呼び込むために、公募はひとつの手段だろう。しかし、党はその人物をどれだけ知った上で公認候補のお墨付きを与えているのだろうか。
今回の問題で謝罪会見を開いた京都府連会長の西田昌司参院議員は、宮崎氏の「勘違い」や「傲慢さ」を批判したうえで、こう述べている。
「われわれは宮崎氏の私的な活動を知らなかった。公募は経歴学歴で人を選ぶことになりがちだ」
これでは、困る。特に、宮崎氏のように選挙区とはそれまでほとんど関わりがなかった「落下傘候補」の場合、有権者は人となりを知る材料がほとんどない。投票にあたっての判断材料は、本人の弁以外には、公認を与えた政党への信頼と応援に入った党幹部らが言うことくらいだ。政党は経歴やプレゼンテーションのうまさや見栄えだけでなく、もう少し候補者の政治家としての資質を見極めたうえで、公認を決め、選挙戦に送り出してもらうのでなければ、有権者は何を頼りに一票を投じたらいいのかわからない。
とりわけ宮崎氏の場合、その資質を見極める手がかりがなかったわけではない。彼は以前、自民党の元幹事長を務めた衆院議員の娘で同議員の秘書だった女性と結婚した。しかし、同氏の女癖の悪さが原因で離婚したと報じられている。同じ政党内でもあり、彼の人間性を知るための情報を集めるのはそれほど困難ではなかったように思う。西田氏の発言は、それすらなされていなかったことを認めるに等しく愕然とする。
今回の問題は、宮崎氏個人のスキャンダルであるのみならず、自民党の公認候補者選びの杜撰さをも示した。同党に限ったことではないが、政党はもっと責任を持って公認候補者の政治的資質を見極める努力をしてもらいたい。
見過ごせない大臣らの失態
若手議員だけではない。宮崎氏の問題の陰になって目立たないが、丸川珠代環境相の原発事故後の除染に関する失言など、このところ自民党の大臣クラスの言動に関してもさまざまな問題が伝えられている。
丸川環境相は、2月7日の長野県松本市で行った講演で、国が除染の長期目標に掲げた「年間1ミリシーベルト以下」について、「『反放射能派』と言うと変ですが、どれだけ下げても心配だと言う人は世の中にいる。そういう人たちが騒いだ中で、なんの科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた」と述べ、民主党政権で環境相だった細野豪志氏を批判した。信濃毎日新聞が報じて問題化したが、当初は「記憶がない」などと発言を否定するかのような対応だった。5日後、宮崎氏の記者会見と同じ日に一転して発言を認め、「福島をはじめ、被災者に改めて心からおわびしたい」と述べた。