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「週刊文春」(文藝春秋/4月7日号)では、乙武氏の関係者が彼の学生時代のエピソードを紹介している。女性に積極的に声をかける乙武氏を知人がたしなめると、彼は物理的に自身で性欲処理ができないという事実を伝えたうえで、「僕の気持ちが、あなたにわかりますか」と涙ながらに訴えたこともあったそうだ。性欲が食欲と睡眠欲に並ぶ人間の三大欲求であることは誰もが理解しているはずなのに、障害者の事情となれば議論が追いついていないことは明白である。
乙武氏は、介護にも自助具にも頼らず性欲処理を委ねられる女性が複数いたといわれているが、その不倫騒動は性欲に関しても一人の男性としての自立を目指した結果と考えることもできる。度を越えてエスカレートした結果が今回の騒動となったのだろうが、乙武氏なりの“人としての矜持”ゆえの行動であったとも推察できるだろう。
また、障害者の性欲問題をオープンに語ることができない世の中の構造にも着目すべきだ。テレビなどの大手メディアでは、乙武氏の異性に対するだらしなさという側面を中心にフィーチャーしがちだが、今回の不倫騒動に関しては一元論的に結論を導き出せるものではないのではないか。
(文=森井隆二郎/A4studio)
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