5月10日、国会の内閣委員会で参議院議員の山本太郎氏が、今秋に新たに設置される「特定国立研究開発法人」(スーパー法人)の候補に、国立研究開発法人・理化学研究所(以下、理研)が含まれていることについて「STAP細胞論文の研究不正事件は解明されていない、まだ時期尚早だ」として候補から外すように求める動議を提出し、物議を醸した。
5月11日に参議院本会議で可決した「特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法案」(以下、スーパー法人法案)は、10月1日に施行される予定。スーパー法人は研究機関として世界最高水準の研究成果を創出することを目的とし、優秀な人材を確保するために高額の報酬を理事長の裁量によって設定できる。理研の広報部によると、日本の研究機関は世界の研究機関よりも給与が安いことは以前から指摘されており、魅力的な待遇で優秀な人材を招聘したいという話は以前からあったという。
逆に研究に成果が出ない場合は、所管の大臣が理事長を解任できるとしている。また、政府が特定の研究の実施を法人に要求できるようになるなど、政府が人事に直接介入することが可能になる。スーパー法人となる予定の研究機関は、理研と物質・材料研究機構、産業技術総合研究所の3機関。
政府が研究内容を指定し、その成果が出れば高額の報酬が研究者に流れるシステムづくりが強化される制度改革に、山本氏は質疑で「STAP細胞問題、まだ検証は不十分、理研は小保方さん一人をスケープゴートに差し出して組織を守ったという印象がある」と指摘、理研がスーパー法人に格上げされるのは時期尚早だと、政府が推し進める国家的プロジェクトに噛みついた。
山本氏はSTAP細胞論文をめぐる問題で責任を問われ、2014年12月21日付けで理研を退職した小保方氏の手記『あの日』(講談社)を読んで、検証委員会の公正さに疑いを持ったようだ。
「検証も不十分。もう一度やる必要がある」
この問題について5月24日に参議院議員会館で行われた「生活の党と山本太郎となかまたち」の定例会見に出席した筆者は、改めて山本氏にSTAP細胞問題と理研が行った小保方氏の処遇について所感を求めた。以下が山本氏の回答。