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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

「爆発企業」サムスン、洗濯機も爆発続出で企業「分割」危機…韓国経済危機に直結も

文=渡邉哲也/経済評論家

サムスンに訪れた「二番手商法」の限界

 サムスンの最大の問題は、経営者のみならず商品においても「次がない」ということだ。サムスンは、いわゆる「選択と集中」によって規模を拡大してきた。しかし、これまで得意としてきたビジネスモデルが、もはや成立しなくなりつつある。サムスンは、いわゆる「二番手商法」によって業績を大きく伸ばしてきた企業だ。

 つまり、他国の製品を徹底的に解析し、コピーや模倣によって安価な製品を生産、その販売によって世界シェアを伸ばしてきた。特に、日本のメーカーの後追いをするかたちで、家電製品からコンピュータ、液晶、メモリ、携帯電話とシフトしてきたが、日本企業と違って行き詰まりを見せてしまっている。

 日本の電機メーカーは、確かにガラパゴス化した部分もあるが、当初のB to CからB to Bに転向してキーパーツや特殊部品などの輸出で強みを見せてきた。さらに、最近ではB to G、つまり政府向けのインフラ輸出でも存在感を発揮している。

 サムスンもB to Bに乗り出していたが、主要取引先であったアップルとの関係が悪化するなど、その雲行きは怪しい。たとえば、11年にアップルが知的財産の侵害を理由にサムスンを提訴、今年10月には米連邦控訴裁判所がサムスンに対して1億1960万ドルの損害賠償を再び認める判決を下した。

 また、iPhone 7に搭載されている次世代プロセッサ「A10」の製造に関して、サムスンが蚊帳の外に置かれたことも大きな話題になった。サムスンと業務提携を結んでいた半導体メーカーの米グローバルファウンドリーズは、サムスンとの提携を解消して、今後は独自に技術開発を進めていく意向を明らかにしている。それは、A10の製造だけでなく、アメリカの半導体事業からサムスンが外されたことを意味する。

 また、輸出不振が顕著なサムスンは多くの不良在庫を抱えている。韓国金融監督院によると、在庫資産額は15年9月末の時点で22兆8410億ウォン(約2兆4000億円)と史上最高額を記録しているのだ。

 バランスシート(貸借対照表)で考えたとき、在庫は資産としてカウントされるため赤字にはならない。しかし、その在庫を仮に安値で処分すれば、売り上げは立つが同時に損金が出て赤字が発生する。すると、一気に財務バランスが崩れてしまう。

 とはいえ、いつまでも在庫を抱えていても手元資金が不足してしまうため、倒産のリスクを高めてしまう。サムスンを世界的企業に押し上げた二番手商法も、いよいよ終焉が近づいているのではないだろうか。

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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