ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 中国、トランプ米大統領と屈辱外交  > 2ページ目
NEW
「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国・習近平、トランプ米大統領に鼻であしらわれる屈辱外交…北朝鮮と関係断絶か

文=相馬勝/ジャーナリスト

 首脳会談前、中国の対北朝鮮姿勢が注目されていたが、電撃的な対シリア軍事作戦もあって、すっかりと霞んでしまったかたちだ。トランプ大統領としては、中国は北朝鮮問題で妥協しないだろうとの読みから、首脳会談中にシリア攻撃を行い、「次は北朝鮮だ」と印象付けることで、中国から妥協を引き出そうとしたのだろう。

 中国メディアは米側が発表した北朝鮮問題の合意については報じておらず、中国当局が国営新華社通信などのメディアに報道自粛を指示したとみられるが、それだけ中国は北朝鮮への対応に苦慮しているといえよう。

 筆者がこれまでの本欄で何回か触れているように、中朝関係はもはや決裂寸前であり、中国にとって北朝鮮は米国に次ぐ「仮想敵ナンバー2」だけに、おいそれと「核開発をやめろ」とは説得はできないだろうし、とはいえ、隣国だけに米軍に攻撃されても困る――、というハムレットの心境であろうことは容易に理解できる。
 
 結局、中国はこれまでと同じように、ずるずると現状を長引かせて、北朝鮮の核開発についてなす術がないということだろう。それに業を煮やしたトランプ大統領が最終決断を行うまで、その状態は続いていくに違いない。

 習主席は今回、わざわざアメリカまで出かけて行ったが、結局、トランプ大統領に足下を見られ、鼻面を取って引きまわされたといえよう。

 首脳会談を報じた香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の投書欄には「さまざまな問題が話し合われたことはわかるが、明確な合意もなく、解決策も提示されなかった」とのコメントがみられるなど、習主席がわざわざアメリカまで行って、首脳会談を開く必要があったかどうかを疑問視する声さえ寄せられている。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

中国・習近平、トランプ米大統領に鼻であしらわれる屈辱外交…北朝鮮と関係断絶かのページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!